東南アジア駐在員報告
2014年6月 社会・時事 駐在員 : 芦澤裕之
5月中旬、南シナ海の領有権問題を巡る中国とベトナムの対立を巡り、ベトナムのホーチミン市及びビンズオン省等において、中国側の行動に抗議するデモが吹き荒れた。
暴徒化したデモ隊は、標的となった中国系企業に押し入り、放火や建物、設備の破壊活動を繰り広げた。中国系と間違われたと見られる台湾系、韓国系、マレーシア系企業も被害に遭い、本県からの進出企業を含む日系企業も操業停止に追い込まれるなどの影響を受けた。
この結果、中国人5人が死亡し、ビンズオン省ではデモ発生後3日間で約800人が拘束された。同省のデモ参加者は2万人近くに上ったという。
その後、ベトナム政府はデモを容認しない姿勢を示し、中国大使館前の公園の封鎖や警察官の見回りなどにより、5月末現在、デモは押さえ込まれている。
アジアの経済ビジネス情報を配信しているNNAの報道によれば、3割の企業で建物・設備に被害があったビンズオン省のベトナム・シンガポール工業団地では、デモから10日後には大半の企業が操業を再開し、団地内には平穏な空気が戻っているという。また、ビンズオン省は、今回のデモで被害を受けた省内の企業に補償する方針であるとしている。
当事務所では、デモ発生後、在ベトナム静岡県関係企業に御協力をいただき、デモの業務への影響の有無、従業員やその家族等への人的被害を情報収集したところ、業務への影響、人的被害共に報告がなく、安心したところである。また、今回のデモは南部中心であり、首都ハノイからも遠かったことから、ハノイでは市民の日常生活にもまったく影響が見られなかったようである。
影響を受けた企業の皆様には心からお見舞い申し上げるとともに、進出企業の皆様にあっては、引き続き冷静な対応をお願いしたい。
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