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北米駐在員報告2003年3月 経済 イラク戦争勃発で石油はどうなるか(在米ジャーナリストからの情報)
イラク戦争が秒読み段階に入る中、世界石油産油国会議(OPEC)は3月11日の総会で、軍事攻撃で原油の供給不足が生じた場合には迅速に増産で対応することを合意はしている。しかし、産油国の生産余力は乏しく、目下のところは「波乱含み」の様子眺めの状態だ。 一方、あらゆる事態に備えるアメリカは、同盟国・サウジアラビアと「イラク戦争が始った場合は、サウジが日量150万バレル増産する」ことで基本合意に達したと、米主要メディアは報じている。また、米政府は「イラク戦争などで深刻な原油不足が起これば、速やかに原油石油備蓄を放出する用意がある」(エーブラハム・エネルギー省長官)が表明するなど、価格沈静化を図っている。
しかし、「今回は当時のような動きにはならない」(米メージャー筋)との見方が有力だ。というのも、前回はクウェートからのイラク軍撤退が目的だったのに比べ、今回はサダム・フセイン政権の打倒、崩壊が目的。崩壊させたあとの事後処理などを視野に入れると、「あまりにも不確定要素が多すぎるため、予測しがたい」(米石油問題専門家)からだ。それでも米専門家の間には「ある種の楽観論」(米議会外交委員会筋)が広がっている。「短期戦」「米軍の圧勝」「サダム・フセイン政権消滅」といったペンタゴンの意図的に流すシナリオが米業界に心理的影響を与えているからだろうか。 米有力シンクタンクの中東問題専門家は、以下のようにコメントしている。 「戦闘必至となった場合、数日前から原油価格が上がりだすのは避けられないだろう。一日2ドル程度は値上がりする可能性が十分にある。ただ、サダム・フセインが自国の油田を破壊する、あるいはサウジの油田に奇襲をかけるような不測の事態でも起こらない限り、1バレル43ドルを超えて上昇する事態が続くとは思えない。原油供給量そのものよりも心理的な市場の動きがカギになりそうだ」 |
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