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中国駐在員報告

2009年1月 社会・時事
駐在員 : 若田部 孝


中国の農村の土地改革
 〜土地所有制に変化が起きるのだろうか〜

 2008年10月19日に、中国共産党は、第17期第3回中央委員会総会で採択された「農村改革推進のための若干の重大問題に関する決定」を公表した。
その主なものは、
 @2020年までに農民の平均所得を倍増させること。
 A農民が持っている土地使用権の流通を容認すること。
 B中小都市で安定した職業についている出稼ぎ農民に都市戸籍を与えること。
  である。
 その中で、Aの農村部の土地改革に関するこれまでの経緯と、改革概要については、次の通りである。
 今から30年前の1978年に、浙江省に隣接する安徽省の凰陽県小崗村の18人の農民が「各戸生産全面請負制(大包幹)」の第一歩を踏み出してから、この制度は、全国に波及し、1986年までに、全国の農家の99.8%が参加することになった。
 この制度とは、個々の農家が農地の所有権を持つ農村集団組織(人民公社の後身)と請負契約を結び、国家上納分と集団留保分を除いて、残りを自分の収入にすることができるものである。請負期間は、1984年に15年以上と決められ、1998年には30年までに延長された。
 そして今回の土地改革について人民日報は、「農村の基本的な制度を維持し、土地請負制を安定・完備させる。そして法律に基づいた自己意思による有償譲渡の原則を踏まえ、土地請負経営権市場の健全化を図り、条件のあるところでは多様化した形式の一定規模の経営を発展させることができると定めた。」と報じた。
 また、中国共産党の機関紙は、「農地の使用権については、流通市場をつくり、請負、賃貸、交換、譲渡、共同出資などの方式で、使用権を流通させることを認める。これによって大規模農場を含めた経営形態が可能になる。」と報じた。
 さらに、これらの報道とともに、日系のメディアは、今回の土地改革の持つ意味について、次のように報じている。
「中国は、土地に関して公有制を採用しているが、都市の土地は「国有」であり、農村の土地は「集団所有」と区別されている。都市の土地は、その使用権が比較的自由に売買できることに対し、集団所有の農地はさまざまな制限が設けられ、土地を手放した時の代償も低く抑えられてきた。それは、都市部では、個人と国家との関係であるが、農村では、国家と個人の間に「集体(郷や村といった農村の端末の行政単位やコミュニティー)」が介在しているためだ。
 また、土地に対する個人の権利は既に2003年の「土地請負法」によって明文化されており、今回の決定は、現状を追認して、徹底を図る意味合いのようだ。
 以上により、今回の決定は、農地の転売に関しては「集体」の介入に対し個人の権利を強化するという意味合いを持つものの、非農地への転売に関しては、むしろ「国家」の介入に対し「集体」の自主性を尊重するものであり、土地の個人所有制度に道を開いたものではないだろう。」
 昨年、改革・開放から30年が経ち、経済発展した中国国内で、都市部と農村部との経済格差が拡大している中、今後どのように国民生活の安定のために取り組んでいくのか、今回の農村の土地改革も含め注目していきたい。

(参考)中国と日本との耕地面積等の比較(2006年)
1 耕地面積
中国
日本
耕地面積(1,000ha)
121,776
4,671
農業就業人口(万人)
34,874
321
2 一人当たりの耕地面積
中国
日本
耕地面積(ha)
0.349
1.457
(データの出典)
中国…中華人民共和国国家統計局「第2次全国農業普検主要データ公報」
日本…農林水産省大臣官房統計部「耕地及び農地面積統計」
               「世界農林業センサス農家調査報告書」


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