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中国駐在員報告
2011年8月 経済 駐在員 : 野村芳一
国家統計局は7月9日、6月の消費者物価指数(CPI)が、昨年同月比で6.4%の上昇となったと発表した。上昇幅は今年に入ってからの最高を更新し、約3年ぶりの高水準となった。当局が目標とする4%を9カ月連続で超えたことになる。項目別では、食品価格が14.4%上昇し、引き続き全体を押し上げた。中でも豚肉は57.1%、卵は23.3%上昇している。
特に中華料理に欠かせない食材である豚肉の高騰による生活への影響が広がっている。高騰の原因については、子豚の疫病の流行による価格高騰を見越した生産者の売り惜しみ・投機筋の買い占めや、ほぼ3年ごとに繰り返される豚肉の「価格高騰」「増産」「価格暴落」「減産」「価格高騰」という「ピッグサイクル」のピークに当たること等が言われている。
6月のCPI上昇率6.4%のうち、1.4ポイント分が豚肉上昇によるもので、中国政府によると、6月最終週の卸値は前年同期のほぼ倍の価格という。
ある老舗の上海料理レストランは今月、名物「豚角煮」の値上げに踏み切り、一人前58元から10元値上げした。日本のガイドブックで紹介されている有名店も、豚肉メニューの一人前の量を減らすなど、実質的な値上げに踏み切っている。食品価格の高騰のためか、当事務所があるビル周辺の飲食店のランチも値上げされた。また、市民の足となっているタクシー料金も7月から、初乗り料金が12元から14元に値上げされるなど、物価上昇が確実に生活へ影響を及ぼしている。
関係者の間では、CPI上昇幅が6〜7月をピークに縮小に向かい、下半期には落ち着きを見せるとの見方も多い。一方で一部専門家の間には、上昇幅はしばらく高い水準で推移するとの見方も出始めており、来月以降の数値の変動が注目される。
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