東南アジア駐在員報告
2006年7月 経済 駐在員 : 獅倉 浩
シンガポールの経済はここ数年順調に成長している。欧米の民間シンクタンクの経済予想を見ると、2006年の国内総生産の成長率は6%から7%になると予想しているところがほとんどで、ASEAN諸国の中では、ベトナムと肩を並べる高成長率である。
この経済成長を受けて、不動産の価格(賃貸料金)がここ数年で大きく上昇している。英国系の不動産コンサルタント会社CBリチャード・エリスが昨年の世界173都市のオフィス賃貸料を比較した国際調査(注1)で、シンガポールは前年の63位から43位へと大きく上昇した。同社の分析によると、シンガポールでは10年間にわたって不動産価格が下落する状態が続いたが、過去2年間で回復状態にあり、2006年の年末までには更に15%から20%上昇するだろう。しかし、同じアジア地域の東京や香港に比べると依然として価格競争力が残っているということである。2006年3月末時点で、シンガポールにおける1u当たりのオフィス賃料は年間5万1千円で、これは前年比8%増の価格であり、一昨年比では40%増の価格である。
分譲マンションや、戸建住宅の賃貸価格も上昇している。地元不動産会社によると、好調な経済状況を反映してここ数年外国の駐在員が増加し、特に人気がある都市中心部の築10年未満の賃貸物件の賃料は、この1年間で20%上昇し、今後1年間で更に10%から15%程度上昇することが予想される。
注1 オフィス年間賃料 (単位:1uあたり円)
順位 | 国名・地域名 | 都市名 | 賃料 |
1位 | イギリス | ロンドン(ウェストエンド) | 223,000円 |
2位 | 日本 | 東京(都心部) | 161,000円 |
3位 | イギリス | ロンドン(シティー) | 158,000円 |
4位 | 日本 | 東京(周辺部) | 146,000円 |
5位 | 中国 | 香港 | 126,000円 |
6位 | ロシア | モスクワ | 117,000円 |
7位 | インド | ムンバイ | 115,000円 |
8位 | フランス | パリ | 114,000円 |
9位 | イギリス | ダブリン | 108,000円 |
10位 | イギリス | エジンバラ | 90,000円 |
14位 | 韓国 | ソウル | 85,000円 |
17位 | インド | ニューデリー | 78,000円 |
37位 | 中国 | 上海(浦東) | 56,000円 |
39位 | 中国 | 上海(浦西) | 54,000円 |
43位 | シンガポール | シンガポール | 51,000円 |
45位 | 台湾 | 台北 | 50,000円 |
49位 | 中国 | 北京 | 47,000円 |
※CBリチャード・エリス資料から、1米ドル=115円、1平方フィ−ト=0.0929平方メートル、で換算し作成した。
11位以下は、アジア地域のみを抜粋した。
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