中国駐在員報告
2012年9月 社会・時事 駐在員 : 井口 真彦
出張で浙江省嘉興市にある海寧市を訪問中の8月23日の夜、移動中の車中から不思議な光景を目にした。夜空に点々とオレンジ色の光が無数に浮かび、風に乗ってふわふわと動いているのである。
同行していたガイドによると、「今日は旧暦の七夕、中国のバレンタインデーで、こういう風習がある」と言い、浮かんでいるのは中に火が入ったちょうちんのようなものだそうだ。
後で調べたところによると、これは、天灯又は天燈と言い、中国やタイ王国などアジア各地域で広く見られる熱気球の一種で、チャイニーズランタンとも呼ばれるもののようである。
旧暦の7月7日、七夕の日には、天界の織女と牛郎がカササギの橋を渡って年に1回逢うことができるという伝説があるのだが、近年、中国では中国式のバレンタインデーとされ、中国各地で様々な形の七夕祝いが行われている。
当然ながら、日本のバレンタインデーと同様に商業的色彩が強く、一部の旅行会社やホテルは、七夕にちなんだキャンペーンを打ち出し、有給休暇を利用して短期旅行を楽しむカップルも多く、高級ホテルの特別割引ステイプランも好調であった。
一方で、毎年、この日には婚姻届の提出件数が増加しているが、今年は、上海市ではこの件数が昨年比で約5割減と少なく、また、某婚活サイトが七夕に合わせて行ったアンケートによると、上海市ではお見合いの成功率が全国で最も低かった。大都市上海での晩婚化、非婚化傾向を如実に示す結果となった。
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