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2011年11月 政治駐在員 : 井口真彦
浙江省温州。柑橘類の名産地で「温州みかん」の名前はここに由来しているようだが、それ以外の知識は、恥ずかしながらあまりなかった。 中国では、商才に長けた「温州商人」は金持ちの代名詞で、「中国のユダヤ人」と称されることもあるそうである。上海の不動産もかなり彼らが保有しているらしい。 温州は、元々山に囲まれ、政府からの支援も無い“陸の孤島”だったが、70年代末の改革開放政策の実施直後から、民間経済が最も早く勃興した。 その後、衣料、靴、傘などの日用品を中心に、民営企業のメッカとして目を見張る発展を遂げ、中国国内だけでなく、世界各地で積極的にビジネスを展開し、近年ではドバイの超高層ビルへの投資などでも世界中の注目を集めた。 その温州で、9月以降、中小企業経営者の夜逃げが相次いでいるというニュースが各紙で報道され、老舗眼鏡メーカー会長の国外逃亡の動向がゴシップ的に伝えられるなど、報道が過熱している感がある。 中国の経済メディアは、草の根の経済活力を図るための先行指標として温州を取り上げることが多い。温州商人の動きを見れば中国経済の方向や問題点がわかるとも言われるが、いったい何が起こっているのだろうか。 9月12日、国務院は中小企業を対象に、金融機関の融資拡大促進や企業所得税半減策の延長など9項目の支援策を発表した。その背景には、温州市などで加工貿易などを行う中小企業が一部で深刻な経営難となっていることがある。 当局の引き締め策を受け銀行からの融資が縮小する中、不足する運転資金を民間の金融機関から借りる企業が増えているが、個人や企業などで幅広く利用されている同市の民間金融機関の平均年利がなんと180%に達するとのことなのである。 また、企業側が、借りた資金を短期の利益を狙って不動産や別業種への投資に回す例が増えていることも事態を悪化させる一因になっている。 温州では、春節にかけて借入金の支払い期限を迎える企業が増加し、さらなる倒産が相次ぐのではないかとの見方もある。 先ごろ発表された中国の本年第3四半期のGDP(国内総生産)が前年同期比成長率9.1%となり、第1、第2四半期からの減速が顕著だったことや、一部の都市での不動産価格の下落などと併せ、これまで中国経済の成長を牽引してきた、温州を含む長江デルタ地域の動向から目が離せない状況は、しばらく続きそうである。
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