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東南アジア駐在員報告
1999年12月 政治 駐在員 : 篠原 清志
マレーシア、総選挙で与党国民戦線勝利
11月29日に投票が行われた第10回総選挙は、マハティール首相率いる与党国民戦線(NF)が、予想通り勝利を収め、焦点となっていた下院での憲法改正に必要な3分の2以上の絶対多数も獲得した(下院193議席中NFは148議席を獲得)。
今回の選挙は、解任、逮捕され現在公判中のアンワル前副首相の支持勢力がどの程度あるのかが注目点であったが、現政権による政策が功を奏して経済が回復基調にあること。アンワル問題は、マレー系国民の中だけの問題で、国民の4割近くを占める華人やインド系にとっては投票動向に影響を与えるものではなかったこと。などからNFの勝利になったと考えられている。
しかし、政治権力を独占してきたNF内の統一マレー国民組織(UMNO)は、アンワル問題もあって24議席を減らす一方、イスラム国家を目指す野党全マレーシア・イスラム党は、下院で19議席増え、かつ州政府についてクランタン州に加えて、トレンガヌ州を奪取するなど躍進した(アンワル夫人の国民正義党は下院5議席に終わる)。
このように、マレー系国民の支持が分裂していることが顕在化してきており、経済力を握る華人系の地位が政治面でも相対的に向上することがはっきりしてきたことで、同国の政治問題のタブーであるマレー人と華人の対立という問題が、また注目される事態になる危険性が増している。
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