中国駐在員報告
2012年6月 行政 駐在員 : 井口真彦
生活水準の向上に伴い、休日などに旅行を楽しむ中国人が増えている。今年5月の連休では、観光客数や消費額が史上最高を記録した。
しかし、国内旅行を楽しむ一般の中国人にとって悩みの種は、景勝地の入場料の高さである。5月の連休前には、多くの景勝地が20〜60%という入場料の大幅な値上げを発表し、それ以降にも値上げを発表している景勝地が多数あるのである。
中国の主な景勝地は、国家旅遊局により、Aから5Aまでの、5つにランク付けされている。最高級は5Aで、昨年6月に世界文化景観遺産に登録された西湖風景区など、世界的に有名な景勝地が多い。
ある調査によると、全国130ヵ所の5Aレベルの景勝地の入場料は、@60元(約720円)以下:27ヵ所、A60〜100元(720円〜1,200円):41ヵ所、B100〜200元(1,200〜2,400円):46ヵ所、C200元(2,400円)以上:14ヵ所となっている、最も高い220元(約2,650円)の入場料を取るのは、湖北省武当山(太極拳の発祥地)、四川省九寨溝、安徽省黄山、湖南省の張家界などであり、これらの高額な入場料収益は、自然環境の保護を大きな目的としているとのことである。
一方で、市民公園や記念館、博物館などの公益的施設は、低価格化、無料化が進んでいる。
なお、西湖風景区については、以前は壁に囲まれ入場料を徴収していたが、10年前に壁を取り壊して無料開放され、現在では5Aレベルで全国唯一、入場料を取らない景勝地となっている。
無料化後、年間旅客総収入額が大きく増加し、世界遺産登録後も無料を続けている西湖の取組に一票を投じたい。
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