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ヨーロッパ駐在員報告
2002年7月 社会・時事 駐在員 : 山口 幸博
スイス、国民投票で中絶合法化
人工中絶を厳しく罰した刑法の規定を改め、経済上の理由などによる中絶を認めるとした同法の改正案の是非を問う国民投票が、6月2日スイスで行われた。投票率は41%だったが、開票の結果、投票者の72%が支持し、改正は可決された。
これにより、経済的な理由などによる中絶の理由書を妊娠12週間以内に医師と相談のうえ提出すれば罪を問われないなど、実質的に中絶が認められることとなった。
スイスでは、1977年にも、中絶を合法化する政府案が国民投票に付されたが、その時は48%の支持にとどまり、否決された。
今回の投票では、カトリック信者が多く、保守的といわれる州でも支持者が多かった。法改正を求める動きが強まったのは、女性の社会的な進出に伴い中絶するかどうかの決定権を個人に与えるべきだとする認識が高まったことや、中絶の対応が州や病院によって大きく違うが、実際はかなりの数で中絶が行われていたことなどが、背景にあるといわれている。
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