台湾駐在員報告
2014年9月 経済 駐在員 : 宮崎 悌三
昨年1年間の世界各国からの訪台客は初の800万人を突破した(参考:同期間における日本への訪問客は1,000万人の大台に乗った)が、今年1月から6月までの訪台客は、すでに482万人余りとなり、昨年の記録を塗り変える勢いである。
国・地域別で最も多かったのは、中国の約196万人で、前年同期比38.4%増。次いで日本が約78万人で、前年同期比18.5%増えている。以下には、東南アジア、香港・マカオが続く。
台北市内の観光ホテル全体の上半期の売上げ高も前年同期比6.4%増の286億9,700万元(約1,000億円)、平均客室稼働率71.0%で好成績を残した。ちなみに、訪台客のうち、増加率が最も高かったのは日本人で、9万1,523人(10.5%増)であった。
中国からは日本の倍以上の人数が訪台しているが、これは、1日あたりの訪台受け入れ人数の段階的な引き上げや、個人旅行の受け入れ対象都市の拡大が効果を上げた結果と言える。
一方で、中国からの団体ツアーの質も問題となっており、格安ツアーの中には、ツアー代金の穴埋めとして、特定の商店での半強制的な買い物をさせて商店側からコミッションを取るなどの不当な行為が行われており、政府が把握しているそのような商店の数は、200店以上、不当な行為は今年1月から7月までの間に4,000件以上になったという。
このような状況に対して、政府は改善を図ることを決定した。具体的には、ツアー実施の際に、参加者からの料金先払いを徹底させるため、支払いを証明できる書類の提出を義務付けるなどの旅行業者への働きかけを行うほか、中国の関係部門と、適切なツアー料金の定期的な公表や問題点を相互に通知できる仕組みの構築などについて話し合いを始めている。
さらに、質の低下を改善するために、1日の訪台者数の上限をシーズンに関係なく、1日あたり5,000人に固定する方針を示したが、人数で制限を加える消極的な政府の対策に、航空・旅行業界からは批判の声が上がっている。
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