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台湾駐在員報告
2013年6月 行政 駐在員 : 宮崎悌三
南部に嘉義(かぎ)という場所がある。北回帰線(北緯約23度)が台湾を横切るまさにその地に嘉義がある。周囲は豊かな穀倉地帯で、阿里山森林鉄路が走る。昭和の始めには、この地にあった台湾嘉義農林学校の野球チームが甲子園に出場し、決勝まで勝ち上がった歴史がある。
この嘉義に、昨年12月に国際空港に格上げとなった嘉義水上空港がある。これまで半年間、地元の熱い思いとは裏腹に国際線は1便も運航したことがなかった。
地元選出の立法委員(国会議員に相当)と地元自治体は、国際空港となったばかりの空港に一日も早く国際線を飛ばしたいと関係各所に働きかけていたが、ようやく国際線の一番機の運航に漕ぎ着けた。
それが、静岡空港へのチャーター便であった。一番機の出発式には、交通部長(国土交通大臣に相当)やチャイナエアライン会長を始めとして、地元選出の国会議員、首長など、地元の名士が顔を揃え、栄えある地元空港からの国際線の出発を祝い、消防車によるシャワー放水の中、満員(旅行商品販売後4日で完売)の乗客を乗せて静岡へ飛び立った。また、静岡空港から搭乗した日本人客も嘉義水上空港で、嘉義市の黄市長ほかの熱烈な出迎えを受けた。
台湾と静岡を結ぶ直行チャーター便の運航は、翌日の聨合報と自由時報(台湾現地の4大紙のうちの2紙)やネット上のニュースで取り上げられ、地元住民は、地元初となる国際チャーター便の利便性や定期路線と同価格で利用できたことについて、歓迎している。また、観光関連業者も、台湾の国際観光地である阿里山に最も近い空港に日本を始めとして、中国から多くの観光客を受け入れる良い機会となることに、期待を持って受け入れている。
先日、手続きのため、台北市内にある事務所の隣の銀行に出かけた。窓口の方から「嘉義から静岡へのチャーター便に乗って日本に行きたかった。」といきなり言われた。聞くと、嘉義の出身という。
チャーター便1機で静岡県の知名度もグンと上がったようだ。
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