ヨーロッパ駐在員報告
2000年5月 経済
駐在員 ： 森貴志
英・独証券取引所が合併を発表
ロンドン証券取引所と、フランクフルト証券取引所を傘下とするドイツ取引所は、5月3日に対等合併を正式発表した。
ドイツ取引所は世界最大の電子先物市場である欧州金融先物取引所（ユーレックス）も運営しており、合併後は欧州最大、米株式店頭市場ナスダックやニューヨーク証券取引所に続き、東京証券取引所と並ぶ巨大株式市場となる。一方、同取引所はナスダックとの間で、欧州ベンチャー企業専門市場の創設でも合意しており、米ナスダックや、ナスダック・ジャパンと結んだ24時間取引や新規株式公開が可能となり、世界市場再編が大きく加速すると見られる。
合併後の新取引所の名称は「iX（アイエックス）」(本社ロンドン)で両取引所の株主が折半出資し、新社長にはドイツ取引所のザイフェルト氏、会長にはロンドン取引所のクルックシャンク氏が就任する予定であり、今秋の合併完了を目指している。
「iX」はさらに、ナスダック・ヨーロッパと折半出資する合弁会社の下に英・独両取引所傘下のベンチャー企業専門市場を統合、欧州で８０％の市場シェアを獲得し、ベンチャー市場でも圧倒的優位に立つ。
一方、欧州8証券取引所の統合が暗礁に乗り上げる中、ミラノ、マドリードの両証券取引所も「iX」傘下に向けた交渉をすでに開始しており、このため、パリ、ブリュッセル、アムステルダムの3証券取引所合併で先に設立が決まった「ユーロネクスト」も将来「iX」に吸収され、欧州市場再編が行なわれる可能性が高い。
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