中国駐在員報告
2002年5月 その他 駐在員 : 外山 敬三
・中国の平均賃金について
中国は、国内総生産額(GDP)が2001年には9兆元を突破し、経済規模ではイタリアを追い抜き世界第7位となった。実に改革開放政策が始まった1978年当時の25倍、年平均9.5%の経済発展を遂げてきたことになる。この間の先進国の平均成長率が2.5%、発展途上国が5.5%であるので、いかにそのスピードが速いかがわかる。一方、平均賃金は1978年と比べると15倍にしか上昇しておらず(表−1)、経済成長に比べスピードが遅いということが言える。農村にはまだ1億5千万人もの余剰労働力がいるといわれており、中国の低賃金の有利性はこれからもしばらくは変わらないだろう。
しかし、そんな中にもいくつかの特徴を挙げることができる。
まず第1は、経済が発展している沿岸部の地域と内陸部の地域では平均賃金に格差が生じている点である。平均賃金が一番高い上海市と一番低い内陸部の貴州省は2.5倍の格差がある。(表−2)
第2の点は、同一地域内であっても職種・学歴等によって格差が生じている点である。上海市では、市工会職業紹介機構が昨年1月から労働者の最低賃金基準を設定しており、現在600元であるが、昨年上海交通大学を卒業したIT関連技術者の初任給の最高額は4,000元であった。
第3の点は人口の7割を占める農村部でも「村村格差」も広がっている点である。郷鎮企業を興し、紡績から鋼材生産まで58の工場を持つ江蘇省の華西村では、工場長クラスで50万元の年収があるが、陝西省の国家級貧困県に指定されている丹鳳県の中でも一番貧しい白陽関郷では、農民1人あたりの年収は927元と全国平均の1割にも満たない。
(表―1)GDP・1人当りGDP及び賃金の推移
| 1978 | 1980 | 1990 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 |
GDP/億元 | 3,624 | 4,518 | 18,548 | 58,478 | 67,885 | 74,463 | 78,345 | 82,068 | 89,404 |
GDP/人/元 | 379 | 460 | 1,634 | 4,854 | 5,576 | 6,054 | 6,307 | 6,547 | 7,078 |
賃金/人/元 | 615 | 762 | 2,140 | 5,500 | 6,210 | 6,470 | 7,479 | 8,346 | 9,371 |
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(表―2)1人当りGDP及び賃金の市・省別比較(2000年)
| 北京市 | 天津市 | 上海市 | 重慶市 | 浙江省 | 広東省 | 江蘇省 | 広西省 | 甘粛省 | 貴州省 |
GDP/人/元 | 22,460 | 17,993 | 34,547 | 5,157 | 13,461 | 12,885 | 11,773 | 4,319 | 3,838 | 2,662 |
賃金/人/元 | 16,350 | 12,480 | 18,531 | 8,020 | 13,076 | 13,823 | 10,299 | 7,651 | 8,560 | 7,468 |
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
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