台湾駐在員報告
2016年6月 社会・時事 駐在員 : 内藤晴仁
近年、台湾においても有機、無農薬食品等(以下「有機食品等」)への関心が高まっている。台湾行政院農業委員会の統計によると、有機食品等の関連法律が制定された2007年から5年間で、台湾における栽培面積が約2.5倍に拡大している。台北市内の大手スーパーには、有機食品等の販売棚が設けられているほか、独立型の専門店もある。有機食品等については市民の関心も高いことから、このたび独立型の専門店の一つを訪問し、現状調査を行った。
訪問した店は、台湾で9店舗の直営店を展開しており、スーパーやコンビニ等にも広く商品を提供、販売を行っている。販売している商品は、主に有機肥料または無農薬で栽培された野菜のほか、果物、魚、肉、加工品、茶葉、調味料等多種多様であり、品数も小規模スーパーとほぼ変わらないほどである。価格は概ねスーパーの2倍以上と高めであるが、野菜類を中心に売れ行きは良好とのこと。これらは主に中・高所得者層が顧客層であり、中でも食に対する安全意識が高い40歳以上の女性が多いとのことである。
この専門店チェーンは、上記店舗以外にも、台北市内で有機食品等を食材に用いたカフェを経営している。有機食品等をたっぷり使ったミックスジュースはコンビニ弁当よりも高額であるが、注文する顧客は多いとのこと。苦味を抑え飲みやすくした味付けとその量は価格に対する満足度が高く、リピーターも多いとのことである。
また、この専門店チェーンは、近年コンビニとの連携を深めている。コンビニの約半分をこの専門店のスペースとし、コンビニと共同店舗の形態で有機食品等を販売している。先日この共同店舗を訪れたところ、これらの食材を調理したお弁当が販売されていた。コンビニ店舗のため店内は若者が多く、有機食品等をお弁当で提供することで、幅広い顧客層を開拓できる可能性を感じた。
台湾では、数年前の食品偽装問題等の発生もあり、食の安全安心の意識が高まっている。有機食品等への関心は今後も一層高まっていくことが予想されることから、市場状況を引き続き注視していきたい。
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