台湾駐在員報告
2023年11月 社会・時事 駐在員 : 市川 美奈子
台湾が空前の人手不足に陥っている。2023年10月、台湾の大手求人サイト「104人力銀行」の求人件数は過去最高の108万件を記録した。求人件数は8か月連続で100万件を上回っており、昨年同期比6%増となっている。人口が2,400万人に満たない台湾で100万件以上の求人があるという異常事態に直面している。
人手不足は「ホテル・レストラン」などのサービス業で特に深刻で、求人件数は21万6千件。次いで「卸売業・小売業」の求人件数が16万7千件で2位となっている。台湾が誇る半導体分野においても人手不足は例外ではなく、15万7千人の労働力が不足しているという。
普段の生活の中でも人手不足の影響を感じることは多い。弊所近くの飲食店では、ほぼ全ての店舗が、店頭に求人広告ステッカーを張り出している。「人手不足のため、月〜木曜日のランチ休業」という店舗もある。台北だけではない。台中でも、人手不足を理由に、「オーダー票へ自分で記入してほしい」と顧客へ協力を呼びかける看板を見かけた。
人手不足に加えて少子化も深刻だ。台湾は2020年に、死亡数が出生数を上回る人口減少段階に入った。2023年時点の合計特殊出生率は1.09で、少子化と言われて久しい日本の1.26よりも低い。2022年の出生数は統計開始以来最少の13万8,986人だったが、今年は昨年の数字を下回ることがほぼ確実だと言われている。
台湾では「辰年生まれの子は出世する」という古くからの言い伝えがあり、これまでは辰年に出生数が増える傾向にあった。2024年は辰年。今後の出生数の推移に注目したい。
【人手不足の店の看板】
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