台湾駐在員報告
2016年4月 政治
駐在員 : 宮崎悌三
台湾には国家公園(国立公園)が、台湾本島に6か所、台湾海峡や南シナ海に3か所、合わせて9か所ある。富士山と友好山協定を2014年2月に締結した玉山(標高3,952m)や延々と連なる渓谷が美しい太魯閣峡谷も国家公園に数えられる。
これら9か所の国家公園のうち、一般に開放されていない国家公園が1か所ある。東沙(とうさ)環礁国家公園だ。台湾本島から西南西の方角(むしろ香港からの方がより近い。といっても約340kmほど離れているのだが。)の南シナ海に浮かぶ島と環礁のことを指す。
南シナ海と聞けば、その海域に浮かぶ島々を巡る中国とその海域を取り囲む諸国との領有権争いが思い浮かぶ。台湾も南シナ海で領有を主張している島々がある。上記の東沙環礁や更に南の南沙諸島にある太平島などだ。それらの島々は、第二次世界大戦の終結後、台湾が飛行場や港を造り、軍などの関係者が常駐し、実効支配が続いていたが、国際社会において、これまで大きく取り上げられることはなかった。
近年、フィリピンが中国と南シナ海の島々に関する領有権について、オランダのハーグにある常設の仲裁裁判所に仲裁手続きを申し立てた後、仲裁結果によっては、台湾にも不利な状況になることを危惧した台湾当局は、フィリピン政府が主張する太平島が“岩礁”であるという主張に反論するため、次々と手を打った。2016年1月には馬総統自ら島を訪れたのに続き、同年3月には、太平島を内外のメディア関係者に公開した。
また、東沙環礁の周辺海域では、中国の漁船による違法操業に対しての取締りを強化し、3月下旬には、中国人乗組員41人を拘束したうえ、漁業法違反などの疑いで身柄を台湾本島まで初めて連行し、台湾南部の高雄市にある検察当局に引き渡している。
南シナ海に浮かぶ島々を巡る領有権争いは、アメリカ合衆国や日本も巻き込んでいよいよ複雑な様相を呈してきているが、台湾においても関心が高まっていると言えよう。
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