東南アジア駐在員報告
2016年10月 経済 駐在員 : 芦澤裕之
シンガポールでは、9月中旬から、イギリスの公共交通運営会社「ゴー・アヘッド・グループ」の公共バスの運行が始まった。シンガポールでは長年に渡り国内大手2社が公共バスの運行を独占してきたが、一昨年に見直された制度に基づき、政府が運営を一括管理し、一部の路線グループでは、入札で運営会社が選定される仕組みとなった。今年5月に初めてイギリスの「タワー・トランジット・グループ」が運行を開始して以来、「ゴー・アヘッド・グループ」は新規参入2社目となった。
シンガポールのバスは、ネットワークが国中に張り巡らされており、運賃も安く、非常に使い勝手がよいものの、運転が荒いことが玉にキズであった。既存2社のバスでは、急発進、急ブレーキが当たり前、カーブでの減速もなく、バス停では乗客が席に座るかどうかも確かめずに出発することもしばしばで、日本から来た身には辛かった。
しかしながら、新規参入のタワー・トランジットのバスは、社員研修が行き届いているためか運転手の愛想がよく、運転も優しい。また、その影響のためか最近では、心なしか既存2社の運転も優しくなってきた気がしている。国を問わず、競争がないところにはサービスの向上が起こりにくいということを証明する事例であると感じた。
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|