中国駐在員報告
2017年12月 政治 駐在員 : 石井亘
言うまでもなくインターネットは現代社会に無くてはならないものであるが、中国国内では今年9月末頃から、ヤフージャパンの検索機能が利用できなくなったほか、VPN(バーチャルプライベートネットワーク。通信事業の公衆回線を経由した通信サービス)が接続できなくなっている。当初は10月に開催された第19回全国人民代表大会を前にした一時的な規制であろうと言われていたが、11月になっても状況は変わっておらず、VPNは2018年から完全に利用できなくなるという報道もある。
中央政府は、今年6月にインターネット利用を規定した「インターネット安全法」を施行した。同法は、中国国内外の安定維持を重視し、インターネットにおける国家の安全や公益維持、公民・法人等の権益保護、情報化の健全な発展促進などを定めている。特にインターネット運営事業者、公共通信、情報サービス、エネルギー、交通、金融等に必要な情報管理者に対して、「内部安全管理制度の整備」、「コンピュータウイルスやハッキングに対する防犯措置」、「重要データの暗号化バックアップの作成」を義務付けるとともに、利用者の実名登録、所管官庁への情報提供や協力を要求している。その一方、個人情報保護に関しては、商品やサービスの提供者が利用者の個人情報を収集する場合の本人の同意義務付けなどの強化が図られている。
同法は、所管官庁によるインターネット運営事業者に対する違法情報の送信停止要求及び遮断(送信元が海外の場合)等も規定していることから、進出企業や駐在員は注意が必要であり、中国のインターネットを取り巻く環境、規制は日本とは異なっている点を再認識した上で、上手にインターネットを利用することが必要である。
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|