台湾駐在員報告
2019年8月 政治 駐在員 : 宮崎 悌三
蔡英文総統は、7月、国交のあるカリブ海諸国4か国を訪問した帰途、米国のニューヨーク及び西部に滞在した。蔡総統は、その間、米国の上院外交委員会東アジア小委員長と会談を行い、米国の台湾に対する支持を確認し、帰国後、米台関係の一層の緊密化を成果としてアピールした。
その矢先、蔡総統の荷物運搬のトラックから、9,800カートン、約600万台湾元(約2,100万円)のたばこが押収され、歴訪に同行した国家安全局(情報機関)の職員が、大量のたばこを不法に持ち込もうとした事件が明るみに出た。
国家安全局の職員は、総統の外遊に使われる専用機で持ち込まれる際には、特別な税関を使用できることに着目し、台湾を出発前に購入したたばこを発着した桃園国際空港内の倉庫で保管し、帰国時に受け取っていたとされる。
蔡総統は、同局のトップをすぐさま解任し、専用機を運航するチャイナエアラインに対し、過去に遡る徹底調査を求め、同社に対する責任追究の手も緩めない姿勢を示した。
しかし、捜査が進むにつれ、判明した部分だけでも前総統の馬英九氏の時代から続く悪しき習慣であることが次第に明らかになってきた。この時点で、蔡総統は、この事件を巡る謝罪会見を行ったが、米国での成果を示す折角の機会に泥を塗られた形となり、来年の総統選に向けた自らの支持率に負の影響を与えてしまったようだ。
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