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中国駐在員報告
2013年4月 社会・時事 駐在員 : 井口真彦
中国を訪れたことのある方は、当地の車の運転マナーの悪さに驚かれた方も多いだろうと思う。私も赴任して2年近く経った今では、歩道を横切るタイミングについてはほぼ会得したものの、歩行者ではなく「勇気のある方が優先」という習慣には未だに慣れない。
かつては当事務所の運転手も日本人の感覚からは強引な運転と感じられることもあったが、最近はより丁寧な運転を心がけるようになった。このように、各運転手のマナーが向上しているのは、今年から施行された新交通ルールの効果である。
新交通ルールには、ナンバープレート未装着は減点12点、スクールバスに道を譲らなかったら同6点、運転中の携帯電話使用は同2点など、多くの違反行為の厳罰化が盛り込まれた。一方、新交通ルール導入当初は、黄信号で交差点に入った車にも赤信号無視と同様に6点減点(持ち点12点)する重い規定があったが、これには新華社通信も疑問を呈し、1週間足らずで、当面「教育的警告」に留めると修正された。
しかしながら、特に「横断歩道で歩行者がいるのに減速・一時停止しなかったら減点3点及び20元以上200元以下の罰金」と、歩行者優先が明記されたことは、驚きであるとともに我々市民にとって一応は福音である。
但し、これまでの習慣とかけ離れているという実態もあり、地方の警察によっては「歩行者優先は、宣伝教育で主に対応する」として、当面罰則を科さない方針を表明するケースもあるなど、取り締まりの程度は地方によってばらばらである。
実際、浙江省杭州市では以前からの取組の効果もあり、運転マナーがかなり向上しているが、上海市ではまだ歩行者優先には程遠い状況が続いている。日本にいる時より五感を少し敏感にして歩く必要があることに変わりはない。
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