中国駐在員報告
2018年4月 社会・時事 駐在員 : 石井 亘
ゴミの減量化・資源化は全ての大都市が抱える問題である。上海市も例外ではなく、国内の先陣を切って2000年からゴミ分別に取り組んでいるが、期待した成果が現れていない。
上海市の地元メディア「新民晩報」によれば、ゴミ分別の現状は上海市の計画とはかけ離れている。ゴミは現行の規定では有機ゴミ、無機ゴミ、有害ゴミ、資源ゴミ等に分別し廃棄されることになっているが、回収容器の表示が紛らわしいか又は無いために、市民の分別が無駄になっていることが多い。場所によっては、水分を含んだゴミと乾燥したゴミという2種類の回収容器しか設置されていない。有害ゴミである使用済乾電池の回収容器を捜したが見つからず、処分できなかったという住民からの指摘もある。また、分別されたゴミが回収時に混ぜられてしまうケースも発生している。
ゴミを正しく分別して処理した場合、ポイントを付与し市内で使用できる商品券と交換できる優遇策を実施した地区もあったが、ゴミ分別化向上にはつながらなかった。
現在上海市では、ゴミはいつでも廃棄可能で処理費用も無料であるが、ゴミ問題に対する意識を高めるため、収集日時を定めて有料化することが検討されている。また、ゴミ問題に対する意識は小さい時から啓蒙することが大事であることから、上海市教育委員会は小学校入学前からゴミ分別の教育を取り入れることを提唱しているほか、処理施設と協力して年間約200回の施設見学を実施している。
ごみ分別、軽量化の先進国である日本、ドイツでも分別取り組みが市民に受け入れられるには30年必要であったと「新民晩報」は分析しているが、遅ればせながら中国でも、行政、市民が一体となって、日本やドイツのようなゴミ分別先進国に近づこうという努力が始まっている。
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