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中国駐在員報告

2012年11月 経済
駐在員 : 野村 芳一


    <企業・政府>
    在中国の企業の方を中心に最近の日中関係について、お話を伺った。
    ある県関係企業の方は、「最近、杭州の製造業を訪問したが、自動車関係は、総じて厳しい状況が続いている。売り上げが、9月は以前の8割、10月は5割、11月は3割となるのではないかと言っている企業もある。
    企業の環境は、顧客が日系企業なのか中国企業なのか、保税区にあるのかそうでないのかなど様々だが、企業の顧客が、中国国内の日系自動車だけという場合ならば、日系自動車の売り上げが激減しているので、その企業の状況は、非常に厳しい。
     ただ、地方政府、例えば市の下の県、鎮レベルでは、外部からの投資促進のため、相手が日系企業であろうと非常に誘致に熱心である。蘇州にある顧客の10周年記念パーティに出席し、そこで会った地方政府関係者は、投資誘致に大変熱心であった。」
     また、ある日系のイベント会社の総経理は、「9月以降、仕事がさっぱりなくなってしまった。特に政府が関係しているイベントは、日本側の参加が難しくなっているようだ。CITMチャイナ(11月中旬、上海で開催される旅行展示会、本県も出展予定であった)の開催直前の日本側への参加辞退要請も主催者の中に国家旅遊局があるからだと思う。スーパーなどの日本食フェアも日本色を薄めようと、韓国等の食材も含めてアジア食フェアに衣替えする例もある。12月に浙江省が静岡県の代表団を受け入れるというのは、(良い意味で)特別な例ではないか。当社も広東省で行う予定の1月の展示会イベントを3月に延期することにした。ただし、広州市では、反日のムードもやや和らいでいると感じた。広州市政府も思ったより積極的な態度であった。」と言っていた。
    その他、お話を聞いた中には「中国に長く住んでいる知人も、今回の状況は、靖国参拝や漁船衝突の時とちょっと違うと言っている。近隣の日系企業も2社が既に撤退を決めた。」と不安を口にする人がいる一方、「顧客の中でも、業種によっては、今回の日中関係悪化の影響をほとんど受けていないところもあり、撤退など全くありえない。逆に新たな投資を検討している」という話も聞く。
     これらの話を、総合して考えてみると、最近の中国の情勢について言えることは、領土問題は国家同士の問題であり、特に政治の中枢である北京において反日ムードの影響が大きいが、北京から離れるにつれて、影響は弱くなるようである。
    離れるというのは2つの側面があり、1つは物理的な距離、もうひとつは政府のレベルの距離である。北京から距離が離れるにつれて、例えば広州では、影響が弱くなり、また行政組織上は、国から県・鎮などの下級レベルにいくにつれて影響が少なくなるようだ。外国からの投資によって成長してきた中国が、欧米からの投資が期待できない現在、行政の現場で頼ることができるのはやはり日本である。
    したがって、中国進出に興味のある日本企業にとっては、政治的なリスクの存在をよくわきまえたうえで、地域や業種を考えて判断することが、重要と思われる。
    上海政府の関係者の中には、現在は状況が改善したときのために日本関係者と引き続き良い関係を続けていきたいという人もいる。当事務所としても同様で、逆にこのような時こそ、日本に興味のある関係者と関係を築く機会ととらえて活動していきたい。

    <一般国民>
     政治の中枢から離れれば、影響が少ないというのは、主に政府や企業の話で、一般庶民のレベルでは、様子は異なる。タクシーの乗車拒否や飲食店でのいざこざなど、日本人への嫌がらせについて、あまりいい気持ちのしない情報もまだあるので、中国で活動する際には、言動に少し注意した方が良さそうである。
    中国のメディアでは、扱いは小さくはなったものの、現在も毎日のように反日報道がされている。反日報道に素直に反応して、日本人への嫌がらせなど反日に傾く者もいれば、反日デモに参加する人に対して「(暴徒化を非難し)あれは、中国人ではない」という上海人もいる。
    反日に傾くかどうかというのは、主に経済的に恵まれているかどうか、という点のようだ。そういう意味で格差問題の不満を外に向けさせようとしている政府の目論見はある程度成功しているが、日中の経済関係の落込みは、中国にとっても大きな影響をもたらしているとも言え、痛し痒しの状況であろう。


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