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中国駐在員報告

2014年2月 社会・時事
駐在員 : 井口 真彦


     1月9日、中国中央電視台(CCTV)は、世界的に有名な中国の映画監督、張芸謀(チャン・イーモウ)が人口抑制策「一人っ子政策」に違反したとされる問題で、計画出産当局から748万元(約1億2700万円)の罰金が科されたと伝えた。
     張芸謀は7人の子供がいるとの疑惑も取り沙汰されたが、沈黙を続け、昨年12月になって現在の妻との間に息子2人と娘1人がいることを認め、妻の戸籍所在地である江蘇省無錫市当局の調査に応じるとともに、国民に「誠実なおわび」を表明した。
     張芸謀は、「紅いコーリャン」や「HERO」などの映画作品で知られるが、その他にも、北京オリンピックの開会式・閉会式の総監督を務めたほか、その文化景観が世界遺産に登録されている浙江省杭州市の西湖の自然風景を舞台に、真冬の一時期を除いて毎晩挙行されている大スケールの水上ショー「印象西湖」の総監督も務めており、私にも馴染みが深い。
     昨年11月に開かれた中国共産党の重要会議・3中全会では、夫婦のいずれか一方が一人っ子であれば2人目の出産を認める一人っ子政策の緩和策が発表されて注目を集めたが、1980年に始まったこの政策は、30年以上経過した現在も、強い強制力を持っており、規定に違反した超過出産に対しては、「社会扶養費」と呼ばれる罰金が徴収されることになっている。
     張芸謀の超過出産が話題となっている頃、河北省邯鄲(かんたん)市の農民が、超過出産にかかわる問題を苦にして自殺した。村役人による社会扶養費の徴収は過酷であり、この農民は貧困の故にこれを納められず自殺した。一方で、大資産家の張芸謀は、30歳年下の2番目の妻との間に3人(4人とも言われる)の子供をもうけながら社会扶養費を納入しないばかりか、子供たちは市政府教育部門の許可が必要な国際学校に通学していた。
     張芸謀の超過出産と社会扶養費未払いは、自殺した農民との処遇の違いが注目されたこともあって、ネット上でも糾弾されたが、罰金が賦課された結果については、中国上層部の権力闘争にも絡んでいるようである。
     実は、張芸謀は中国では江沢民元国家主席の御用監督と言われている。江沢民は2002年11月に共産党総書記を、2003年3月には国家主席を退任して胡錦濤にその座を譲り、2005年3月までに党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席も退任し、一党員となったのだが、その後も党と国家に一定の影響力を持ち続けた。2008年の北京オリンピックの開会式・閉会式の総監督への任命も、江沢民の意向によるものとされている。
     しかし、習近平が2012年に総書記、2013年に国家主席となり、胡錦濤は党・国家の軍事委員会主席も退任して完全引退したのに加え、江沢民と関係が深かった薄煕来(はくきらい)が失脚したことで潮目が変わった。
     習近平は、依然として影響力を行使しようとする江沢民とそのグループの排除に転じ、党・政府の高官だけでなく芸能人にまでその矛先を向けた。こうして、張芸謀は後ろ盾を無くし、メディア規制、ネット上の書き込みの削除などの恩恵にあずかることも無くなり、多額の罰金を科せられる結果となったというのである。
     年収を基準として算出されたというその金額の大きさと共に興味深い。


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