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中国駐在員報告
2010年8月 社会・時事 駐在員 : 野村芳一
毒入りギョーザ事件、メラミン入りミルクなど食品の安全に関しては、けっして安心ができない中国であるが、上海市内のレストランの入口や勘定場で、大きな色つきのニコニコマークを表示している店が増えている。
これは、上海市食品薬品監督管理局が、「食品安全監督検査結果公示制度の実施に関する通知」を出して、ホテルやプール、サウナ、浴場、美容院、エステサロンなど不特定多数の人が利用する施設に対し、衛生状況の等級を表すマークの表示を義務づけた制度に基づいている。
衛生状況の等級表示とは、通常の衛生監督基準のほかに、従業員の健康状況や食品管理体制、食品加工設備、食器や器具の消毒状況、食材の購入ルートなどを実際に調べたうえで、3段階で評価。100点満点の90点以上で「優秀」、70点から89点で「良好」、60点から69点で「普通」とし、それぞれを「笑顔」「無表情」「困り顔」で表したマークを施設入り口に表示する。
60点以下の施設については期限付きの改善命令が下され、従わない場合は罰せられる。顔マークを施設側が勝手に撤去した場合も処罰の対象となる。また、悪い評価をもらった場合でも直ちに問題点を改善して再評価を申請すれば、新たな評価結果の公示ができる。これにより、食品安全状況を自主的に改善する動きが促進されているとの報道もあるようだ。
この制度の下で、有名チェーンレストランの中でも実際に不合格の店が出ていることから、消費者の店選びの基準の一つとなりえるものと考えられる。
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