北米駐在員報告

2003年3月　経済
駐在員：松下育蔵

日銀総裁に福井氏内定（在米ジャーナリストからの情報）

速水日銀総裁の任期切れを受け、日銀総裁候補の報道が盛り上がっていた。候補者についての憶測や、深刻なデフレを抱える日本経済の問題点などを新総裁への期待と絡めて度々取り上げてきた米紙であったが、ついに首相から出された総裁の名前に米紙からは一様に失望と非難の声が上がっている。ウォールストリート・ジャーナル（25日付け、日付は以下同）が「新日銀総裁に失望の声」という記事で、「次期日銀総裁選びは、小泉首相の経歴の中で一番重要な決断であった」と述べ、さらに内定した福井俊彦氏について「混乱した金融政策でデフレーションが進み、デフレを引き金に萎縮した日本経済と日本株式市場の現状を打ち破る人選を待っていた人々の希望をくじいた」と報道したのをはじめ、ワシントン･ポスト、ニューヨーク･タイムズなどは「新総裁は『デフレと戦える人』とだけ発言してきた小泉首相の答えは十数年にわたって陥っている停滞から世界第２位の経済を引き上げられるリーダーシップを求めていた人々を失望させるもの」という論調で福井氏の経歴と金融政策を紹介した。また、ファイナンシャル･タイムズでは、「臆病な小泉首相」というタイトルの社説を掲載、その中で「福井氏の金融政策は沈滞する日本経済を救う答えにはならない」と、根本的な金融、経済改革より現状路線維持との考えをもつ福井氏を選んだ小泉首相を非難している。日銀総裁関連では、他に26日付けニューヨーク･タイムズが「速水総裁、日本が困窮状態にあっても無策」という分析記事を掲載した。

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