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東南アジア駐在員報告
2000年12月 経済 駐在員 : 岩城徹雄
ASEANプラス3開催、東アジア自由貿易圏創設へ
11月22日からシンガポールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国及び日本、韓国、中国の3か国の首脳会議で、これらの国々を包括する「東アジア自由貿易圏」の創設についての作業部会の設置が合意され、この地域内での関税の原則撤廃や投資の自由化に向けての検討が始められることとなった。
東南アジアでは、ASEAN自由貿易地域(AFTA)が2002年から具体化し、域内の関税が原則として5%以下になり、シンガポールと日本、シンガポールと中国の2国間自由貿易協定の動きなどもあり、貿易自由化が進みつつある。ASEAN各国は、欧米を中心に域外からの投資が中国に流れていることを懸念しているが、特に中国を含めた広い範囲の自由貿易圏が創設されると、外国からの投資対象マーケットが広がるものと期待している。中国側もこの自由貿易圏構想に積極的な姿勢を示している。
今回のASEANプラス3では、参加国で地域の問題を話し合う「東アジア首脳会議(サミット)」や、域内のIT振興のため電子商取引についての法整備の促進や人材育成支援などからなるe−ASEAN協定の提案もなされ、各国にとって実り多いものとなったようである。
しかし、東アジア自由貿易圏について世界貿易機関(WTO)からは、「加盟国以外には差別的なものであり、貿易の発展は市場の開放によりもたらされるべきだ」との批判がなされているほか、アメリカをはじめとする他地域とのつながりをどう保っていくのか、あるいはASEAN加盟国の思惑の違い(例えば別項、インドネシアとシンガポールの論争)などもあり、順調に進むかどうかは今後の政治・経済状況に大きく左右されるのではないかと考えられる。
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