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東南アジア駐在員報告
2001年8月 政治 駐在員 : 岩城徹雄
インドネシアの国民協議会は、7月23日にワヒド大統領の弾劾決議案を全会一致で可決し、これによりメガワティ副大統領が昇格し第5代大統領に就任した。99年10月に、同国初の民主的手続きにより選ばれたワヒド氏は、独断的な政治運営で議会との関係を悪くし、加えて不正資金疑惑の追及もあり、約1年9か月で政権の座を追われることとなった。この間、景気の低迷、民族や宗教間の対立、地方の独立要求など山積する課題は解決しておらず、メガワティ新大統領にそのまま引き継がれることになった。
ワヒド氏の大統領就任の時も、議会各政党の思惑が絡み、挙国一致体制といいながらも危うさをはらんだ船出であったが、今回も弾劾では一致していたものの新政権における自会派の勢力を確保しようとさまざまな駆け引きが行われた模様である。5人が立候補した副大統領選挙は、最初の投票では決着がつかず決選投票にもつれこみ、開発統一党総裁のハムザ氏が就任したが、舞台裏では候補者間で立候補を取り下げるよう説得工作があったともいわれている。
また、組閣も難航している模様である。副大統領は、閣僚を政党出身者は6割にとどめ4割を専門家から登用する考えを明らかにしているが、専門家も政党の支持を得なくてはならないとしており、政党間の思惑も絡み、8月当初に予定されていた組閣も9日に延期された。
インドネシアは人口2億の大国で、ASEANをはじめオーストラリアなど周辺各国からも、政治の安定と経済の発展を期待されている。
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