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東南アジア駐在員報告
2000年12月 経済 駐在員 : 岩城徹雄
東南アジア各国の経済成長見通し
アジア開発銀行(ADB)は2000年と2001年の各国の経済成長の見通しを修正した。2000年は内需や輸出が好調で各国とも高めだが、2001年は世界経済の減速が危惧されるため伸び悩みになるという。
また、各国とも今年第3四半期あるいは上半期のGDP成長率が発表され、今年の好調を裏付ける数値となっている。
ADB予想経済成長率、実質GDPべース、単位%
| 2000年 | 2001年 |
シンガポール | 8.8 | 6.0 |
マレーシア | 7.5 | 7.0 |
インドネシア | 4.0 | 5.0 |
フィリピン | 3.8 | 3.3 |
タイ | 4.5 | 4.6 |
ベトナム | 6.0 | 6.5 |
シンガポール
通信機器やコンピュータの世界的な需要増により電子関連を中心に製造業が好調で、通産省の発表では本年第3四半期では対前年10.4%の伸びであった。アメリカの経済や電子関連市場の減速、原油価格高などの要因により来年は成長率が鈍るものとの予想もある。
マレーシア
金属・エレクトロニクス・機械関係を中心に製造業が好調であり、中央銀行発表の本年第3四半期では対前年7.7%の伸びであった。ただし天然ゴムやパーム油などの農業部門がマイナス、原油高を背景に名目では大幅なプラス成長となった鉱業部門も、原油生産量減で実質はマイナスとなるなど、ばらつきもある。
インドネシア
農業生産や輸出の増に支えられ、本年第3四半期では対前年5.12%の伸びであった。相変わらず、通貨ルピアや政局の不安定が懸念材料とされている。
フィリピン
第3四半期では対前年4.8%の伸びであった。建設業がマイナス、鉱業が0.5%と振るわない部門もある。インドネシアと同様相変わらず、通貨ペソの不安定と大統領の弾劾など、政局の不安定が懸念材料である。
タ イ
自動車、家電・エレクトロニクスを中心に輸出が好調で、コメの増第2四半期では対前年6.6%の伸びであった。好調であった上半期に比べると、石油高、通貨バーツ安、東北部の洪水などのマイナス要因もあり、下半期も好調を維持できるかまた、総選挙後の政権が経済をどこまで回復できるかは、不明である。
ベトナム
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