東南アジア駐在員報告



2006年9月 経済
駐在員 : 獅倉 浩


    タイで展開している静岡県企業を訪問したところ、景気が良いと感じている企業、景気に陰りを感じている企業、景況感は様々だった。しかし、経済指標と景況感を照らし合わせると概況が見えてくる。
    タイの実質GDPの成長率を見ると、2002年以降高成長を続けてきた経済は2005年に入ってから成長率が鈍化していることが伺える。
    04年に発生したスマトラ沖大地震及びインド洋津波、04年に起きた鳥インフルエンザ、04年以降続いている南部地域のテロ、05年の水不足による農業生産低下等の要因があるが、最大の要因は05年以降続いている原油価格の上昇である。原油の輸入依存度が高いタイは、原油価格上昇によって、黒字を続けてきた貿易収支が05年についに赤字になってしまった。
    これまでタイは、基金制度を創設し、ガソリンと軽油の小売価格に補助金を付与することによって価格を抑えていたが、この制度自体の基金が底をついたことで、05年7月にこの制度を廃止した。これが原油高の進行と重なり、1年半の間にガソリンと軽油の小売価格が1.8倍に上昇したということだ。この他、原油価格の上昇は様々な形で消費者物価の上昇を招き、消費が落ち込みを見せ始めている。これは、他の消費動向に比べ堅調だった国内自動車販売台数が06年第2四半期に前年同時期比マイナスに転じたことにも現れている。
    自動車産業においては、タイは既にASEAN地域内の生産拠点・輸出拠点として位置づけられている。製造台数に占める輸出車台数の割合が増加しており、輸出が好調であることから国内販売台数の鈍化にかかわらず、製造台数は順調に推移している。
    総じて見ると、衣料、一般雑貨など内需関連産業が低調で、電気部品産業、自動車産業など輸出関連産業が好調というこ とになる。しかし、同じ輸出関連産業でもIT関連産業は、毎年30%近いコストダウン競争にさらされており、新商品開発能 力があるかどうかが企業収益に大きく反映しているということだ。


    トピックス9月号 タイ国主要経済指標(抜粋).doc

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