韓国駐在員報告
2016年12月 経済 駐在員 : 松村昭宏
韓国銀行(中央銀行)は2016年11月、「コインレス(硬貨のない)社会」の実現に向けたテスト事業の一環として、一部のコンビニエンスストアで釣り銭を交通カード(ICカード乗車券)にチャージできるサービスを2017年上半期に実施すると発表した。
小銭が減ることで消費者の不便も減り、韓国銀行は膨大な硬貨製造コストの節減が見込める。このテスト事業の結果が良ければ、銀行口座への送金も可能とするなど、釣り銭の入金先を増やすとともに、コンビニだけでなく少額決済が多い薬局やスーパーでも同サービスを利用できるようにする方針である。
韓国銀行はテスト事業を段階的に拡大し、2020年までに「硬貨のない社会」を実現させる計画だ。同行関係者は「硬貨のない社会は、硬貨使用による社会的コストを減らし、国民の不便を解消する目的がある。金融機関やIT企業などとともに最も効率的な方策を講じる計画だ」と述べた。
筆者は韓国での生活が丸3年となったが、韓国は日本に比べ現金を使う場面が極めて少ないと感じている。たとえば前述の交通カードは地下鉄やバスだけでなくタクシー乗車時の決済にも利用できる。また、チェックカード(日本で言うデビッドカード)はほとんどの人が所有しており、どんなに小規模な店舗でもクレジットカードが消費者の手数料負担なしに使える(一部屋台や路上販売を除く)。こうしたコインレス・キャッシュレス社会構築への取組みは、国を挙げて強力に推進されたものであり、一つのことに集中してスピード感をもって対処するという韓国気風の一面が、垣間見える部分であると思う。
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