台湾駐在員報告
2017年5月 政治 駐在員 : 内藤晴仁
今月中旬、台湾の政治団体「中華統一促進党」のメンバーが、台南市にある八田与一氏の像を破壊する事件があった。
八田氏は、日本統治時代の台湾で活躍した日本人技師である。台南市にある「烏山頭(うさんとう)ダム」の設計及び竣工により、台南市及びその周辺を一大農作地帯にした功績が、現在の台湾の教科書に掲載されており、台湾での八田氏の知名度は極めて高い。
犯人は事件翌日に警察へ自首したが、出頭前に八田氏の像破壊時の様子を写真に撮り、SNSに掲載・拡散していた。現地メディアは、今回の事件は直前に発生した蒋介石元総統像の破壊に対抗した政治的主張を伴う行動だと報道した。
八田氏は政治家でないにも関わらず、政治的なイデオロギー闘争により像の破壊が行われたことに、強い違和感を覚える。その後も、八田氏の銅像破壊の報復として新たに別の蒋介石元総統像が破壊される事件も起きているが、このような暴力を用いて政治的主張を行うことは許されないことで、冷静な対応が求められる。過激な暴力の連鎖を断ち切り、増悪を煽る行為がこれ以上起きないことを切に願っている。
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