中国駐在員報告
2016年9月 社会・時事 駐在員 : 土屋岳久
中国では2015年3月時点で、北京、上海、杭州、武漢、寧波等、215もの都市で公共レンタル自転車(以下、公共自転車)サービスが実施されている。この公共自転車サービスの先駆けとなったのが杭州市である。
公共自転車は街の中にある専用駐輪場で借りることができ、杭州市の場合、料金は1時間までは無料、3時間まで1元(約16円)、それ以上は1時間毎に3元(約50円)とリーズナブルで、誰でも大変利用しやすい仕組みになっている。
杭州市では、2008年に専用駐輪場を343か所、公共自転車を4,900台設置して公共レンタル自転車サービスを開始したが、2015年末時点では専用駐輪場が3,504か所、公共自転車が84,100台にまで爆発的に増加した。杭州交通集団によると、2015年の杭州市内における公共自転車の年間累計レンタル回数は1.5億回、一台当たりの一日平均利用率は3.75回であった。
このように杭州市民の足として定着している公共自転車サービスだが、大規模かつ効率的な運営以上に注目されるのが、そのビジネスモデルである。
杭州市の公共自転車サービスは、当初は政府から建設費と運営費用が補助されていたが、現在は公共自転車及び専用駐輪場での広告収入に加え、公共自転車サービスのシステムを他都市に販売することで、毎年2,000万元(約3億2千万円)の収益を上げているとのことである。
このように公共自転車サービスが拡大する一方、上海では最近、民間企業が「摩拝単車(Mobike)」というレンタル自転車サービスを開始した。
このMobikeの大きな特徴は、専用アプリをダウンロードすることでGPS管理された自転車の駐車位置を確認し、どこでも自由に乗り降りができる点にある。
料金は30分1元(約16円)と公共自転車よりも高いが、乗り降り自由という利便性を考えれば高くない金額である。
今後の公共自転車サービスの拡大もさることながら、民間が運営に乗り出したレンタル自転車サービスの運営状況についても注視していく。
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