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中国駐在員報告2007年9月 社会・時事 現代マスコミ事情 (1)マスコミの状況 中国国務院新聞弁公室によると、新聞は全国で1,935紙、テレビ局は302局、ラジオ局も273局、出版されている雑誌は、把握しているだけで9,500 誌ある。 中国の代表的マスメディアは、新聞とテレビである。まず、新聞業界の状況は、定期購読という制度はあまり普及しておらず、市内の売店で購入するのが主流であり、多くの新聞が市内各所で販売されている。なお、新聞の種類として、人民日報、解放日報などの全国紙以外では、各地の地方紙が多数存在する。 次に、テレビ業界の状況は次のとおりである。国の行政区と同様に、テレビ局も省級電視台、自治区級電視台、直轄市級電視台(直轄市は北京、天津、上海、重慶)で構成されており、省級電視台は各省に1つしか認められないのが原則であるが、上海では上海電視台、上海東方電視台の2つが認められている。また、国家テレビ局の中国中央電視台も省級電視台に該当する。さらに、中国はケーブルテレビの普及率が日本とほぼ同じであり(中国:1億2,569万世帯、普及率33.6%。日本:1,913万世帯、普及率38%)、番組チャンネル数は、CNNなど欧米系の番組も含めると、50を超え、番組内容もニュース、スポーツ、映画、音楽、さらに芸能ネタなどのバラエティーから文芸、教育までと、ジャンルも幅広く、社会主義の国のテレビとはとても思えない内容となっており、しかも見てみると、とても面白い。 (2)中国版スター誕生 2004年から2006年まで放映された「超級女声」(女性歌手オーディション番組)は、中国南部の湖南省の湖南衛視(衛星波テレビ局)が企画立案したものである。その内容は、テレビ番組を通じて、各地の予選を視聴者の投票により勝ち抜いた素人の女性が、さらに全国大会に出場し、投票によって勝敗を決め、その優勝者が芸能界にデビューするという番組である。もともとこのような企画は、日本でもあったが、社会主義の中国で実施されたこと、テレビ局と携帯電話会社がタイアップし、携帯電話のショートメッセージの全国投票により勝敗を決したことなどに特徴がある。 この番組は、放映直後から爆発的な人気を博し、2005年には視聴率が全国平均で8.54%、決勝戦時には11%という超高視聴率をマークした。(中国では日本と視聴率計算の方法が異なるため、3%の視聴率でも日本で考えると高視聴率となる。)また、ショートメッセージによる累積投票総数は約3億票を記録し、放映したテレビ局もタイアップした携帯電話会社も、それぞれすばらしい営業成績を収めることになった。なお、この「投票」という仕組みは、国民投票に近いものがあったため、政府もかなりこの番組に対し慎重な対応をしたようだ。 その後、中国のテレビ界では、二匹目のドジョウ商売が続々と量産され、本家本元の湖南衛視でも2007年は「快楽男声」(男性タレントオーディション番組)を放映し、他局でも「イケ面(いい男)コンテスト」のようなものも出てきた。さらに、素人ではなく、セミプロのミュージシャン、タレントの発掘番組も放映され、バリエーションに富んだ番組が誕生している。これらの番組から、歌手や女優・俳優が供給されているが、中国芸能界はまだ未成熟であるため、チャイニーズドリームになるような大成功者を生み出すまでに至っていない。 (3)報道の自由は 報道の自由については、中国憲法でも規定されているが、国家体制に影響を及ぼさない範囲内で、報道の自由が許される。 数年前の鳥インフルエンザの患者発生時での中国マスメディアの報道のあり方は、鳥インフルエンザそのものよりも、報道の自由に関し世界中で話題となったことが思い出される。社会主義国でありながら、北京、上海、深セン、香港などの沿岸部都市では、外国人が暮らすに際し、ほとんど資本主義圏の国と相違ない暮らしが可能である。しかし、一方ではそれらと表裏一体で報道規制など種々の制約が確実に存在する国である。 |
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