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ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 北米駐在員報告

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北米駐在員報告

2001年10月 経済
駐在員 : 若梅真樹


    ・テロ事件によるアメリカ経済等への影響(10月5日現在)
     ウォール・ストリート・ジャーナルによると、テロ事件直後の4から6週間で、ニューヨーク市就業者全体の約2.4%に相当する10万8,500人分の雇用が喪失する可能性があると発表した。内訳は、金融サービス関係が20,000人、証券業界と小売業界で各12,200人、レストラン業界が11,900人、劇場関連で7,800人、ホテル業界が4,300人と見込まれ、さらに観光業界への打撃が指摘されている。
     今回のテロ事件で大きな打撃を受けたのが航空業界。米政府は、長期間の運休により乗客数が著しく減少した航空会社へは資金援助として50億ドル、さらに政府の債務保証枠として100億ドルが設定され、航空業界に対する支援策がとられているが、現在、多くの航空機が50%以下の搭乗率で運航されており、欠便が相次いでいる。利用客確保のため一定の制限下で、ユナイテッド、アメリカンでは、ニューヨーク・ロサンゼルス間の往復料金を587ドルと従来の半額に、ナショナル航空では、ラスベガス・ロサンゼルス間の往復料金を25ドルと設定するなど航空料金引下げ競争は、各航空会社に波及しそうな勢いで、運航本数の削減に加え、12万人を超える大規模リストラや機内食のサービス停止などのサービスカットによりコスト削減を図っているが、更なる経営難に直面するのではと予測されている。
     ロサンゼルス国際空港では、テロ攻撃のターゲットとされる可能性の度合いを考慮し、依然として空港ターミナルへの一般車両の乗入れが禁止されており、駐車場収入の減、また、セキュリティ強化費用の増大、航空会社のフライト削減による離着陸料収入や空港内店舗売上げの減少など多大な影響が出ている。
     観光客には、ハイジャックやテロへの報復攻撃、更なるテロなどの恐怖心から、また、ビジネスマンには、セキュリティチェックの強化等によるフライト時間以外の所要時間の大幅な増加、飛行機の欠便によるスケジュールへの影響、手続きの煩雑さなどからどうしても行かなければならない業務以外の出張は、見送られている状況である。
     航空業界以外にも旅行業界、ホテル業界など多方面で今回のテロ事件による影響が出ている。観光客の激減で打撃を受けているのが、ネバダ及びハワイ州。ラスベガスでは、1日の損害は、約3,000万ドルで、ホテルとカジノの従業員15,000人が解雇され、シーザース・パレスでは新タワー建設計画も延期されるなど事業計画の見直しも迫られ、ホテル代の半額キャンペーンなどで観光客誘致に躍起となっている。また、ハワイでも、日本からの観光客が昨年同期比で半分に減っているため、ラスベガス同様ホテル代の50%から70%割引も登場しているという。ロサンゼルスのニュー・オータニでは、日本からかなりの数で予約キャンセルが入っており今後の予想は全く立たない状態で、メリディアンでも10月及び11月に入っていた500件の予約がキャンセルされたという。
     その他、サンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジは、バイクや歩行者の通行禁止。ネバダ州のフーバーダムでは車の乗入れ制限。ドジャースタジアムでは球場から100フィート以上離れたところで駐車し、バックパックやクーラーボックスなどの持込みも禁止されている。
     このような状況の中、ラスベガス・コンベンション&ビジターズ・オーソリティーでは、1,300万ドルをかけ、車や短時間のフライトでアクセス可能な近距離マーケットにターゲットを絞ったキャンペーンを行うと発表。また、カリフォルニア州でもデービス知事は、10から11月に500万ドルをかけて、州民に旅行を促すキャンペーンを実施し、消費が国を救うとして愛国心に訴えることとしている。
     米商務省は、今年第2四半期の実質国内総生産(GDP)確報値が前期比0.3%の伸びにとどまり、マイナス成長を記録した93年第1四半期(0.1%減)以来、約8年振りの低成長を記録したと発表した。第1四半期の1.3%成長を大きく下回り、テロ事件以前からの景気減速が確認されたものとなった。
     また、米連邦準備制度理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、主要金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を現行の3.0%から2.5%に引下げ、公定歩合も0.5%引下げ2.0%に設定、即日実施した。FRBは、同時多発テロ事件による米国経済への影響を懸念し、17日に0.5%の緊急利下げを行ったが、その後も株価は大幅下落し、米国経済のリセッション入りは必死との見方が広がっていたため、一段の景気悪化防止を目的に追加利下げを実施したものとなった。
     さらに、ブッシュ米大統領は、米政府と議会が検討中の同時テロ事件後の景気刺激策について、最高750億ドル規模の新たな財政支出を承認するよう議会に要請し、また、個人に対しては戻し減税や減税の前倒し実施、企業に対しては法人税減税や投資税額控除などを検討する方針を示した。人々が景気への自信を取り戻せるよう、財政出動を進めていくとのことである。

    (ジュリアーニ市長の続投は)
    9月11日は、ニューヨーク市長予備選の日でもあったが、テロ事件により延期されている中、ジュリアーニ市長に対する3期目続投の待望論が高まってきている。3選は禁止されており、11月7日の本選挙までに州及び市の公職選挙法の改正が必要となるため現実的には難しいと見られているが、事件後における復興活動での同市長の手腕を高く評価する声が多く、3か月程度の延長が検討されている。

    (その他)
    JETROロサンゼルスセンターでは、“南カリフォルニアにおける日系企業へのテロの影響について”、“テロによる旅行業界への影響レポート”などの調査を実施し、下記のサイトへ掲載。
    http://www.jetro.org/losangeles/j/index.htm


    -参考文献-
    ・U.S. Frontline News
    ・RAFU SHIMPO
    ・時事通信社
    ・JETROロサンゼルスセンター調査セクション資料


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