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東南アジア駐在員報告2007年9月 経済 ベトナム・・・金型用部品半完成品の供給基地 ホーチミン市内から国道を北東に車で走ること約1時間、サイゴン・リン・トラン輸出加工区(注)に、プレス用精密金型部品等を製造する静岡県企業、駿河精機株式会社(以下「駿河精機」と言う)が1995年に設立した現地法人サイゴン・プレシジョン(以下「同社」と言う)がある。 同社は、原材料の鋼材を日本から100%輸入し、切削加工、研磨加工を施した半完成品を静岡の本社を始め、駿河精機の海外生産拠点であるタイ、中国、アメリカ、ポーランドの現地法人に供給(輸出)しており、その取り扱い点数は2000点以上になる。駿河精機グループにおいて、同社は重要な半完成品供給基地なのである。半完成品を受け取った生産拠点では、これによって納期を短縮することができ、各々顧客の注文に応じ最終加工を施し、早いものでは注文当日、遅いものでも注文を受けて3日以内には納品する。 通常駿河精機が取り扱うような金型用部品は、製造する製品各々により違いがあり、また部品需要も予測できないことから作り置きをしない。注文を受けてから製造するために、受注から納品するまでに1週間以上の日数を要することは常識とされていた。ところが、駿河精機は、同社からの安定した品質の半完成品の供給を各生産拠点に流すことにより、各生産拠点での製造工程を大幅に縮小し、納期の短縮を実現しているのである。 現在、駿河精機はプレス金型用部品のカタログ販売“(株)ミスミ”のグループ企業として製品を供給しており、(株)ミスミのモットー「短納期・高品質・低コスト」を支えている。 (注)輸出加工区・・・輸出加工区(EPZ)は輸出志向企業に用意された工業用地のこと。原料の輸入関税は免除で、税関手数料もかからない。さらに安い労働力、低い土地賃貸料、少ない規制の恩恵を受けることができる。EPZのインセンティブは特に魅力的である。 |
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