中国駐在員報告
2017年10月 社会・時事 駐在員 : 石井亘
自転車シェアリングサービスは、中国で発展するニュービジネスの代表として日本でも話題になっている。中国交通運輸省が今年7月に発表したデータでは、中国全土で約70社が1,600万台を運営していて、利用者は延べ15億人に達した。このうち、札幌市でサービスを開始した「摩拝単車(モバイク)」と「ofo共享単車」の大手2社は、海外でも事業を展開している。
公共交通機関と組み合わせて利用することで移動時間が短縮できることから、この1年間で利用が急増し、生活の一部となった感もある自転車シェアリングサービスだが、駐輪車両が駅前を占拠したり、壊れた車両が放置されるなどの問題が表面化している。
地方政府がそれぞれの実情に応じた対応策を打ち出しているが、浙江省の省都である杭州市は、9月29日に新たな規制案を発表した。現在杭州市内には運営会社10社が約40万台のシェアリング自転車を投入しているが、今回の規制案では、運営会社は自転車120台に対して1人の割合で管理人員を配置し、乱雑に放置された自転車の撤去を行うことが要求されている。また、今後、投入する自転車総数を厳しく制限し、地下鉄駅出入口や商業施設等においては設置台数を定め、超過した場合は運営会社の責任で撤去することなどが定められている。
この規制案に対して、モバイク社杭州支店は同日にコメントを発表し、「規制案に賛成であり、企業の社会的責任を果たすべく対応していく」と述べた。同社はまた、他の運営会社とユーザーの間でトラブルが発生している利用開始時の預け金(デポジット)未回収問題についても、提携銀行と協力し、ユーザーに損害が発生しないシステムを構築するとしている。
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