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ヨーロッパ駐在員報告
2000年3月 政治 駐在員 : 森 貴志
独大統領、イスラエル訪問
ラウ独大統領は、ドイツ連邦共和国の元首として初めてイスラエル国会に出席し、「ナチス政権によって殺されたイスラエルの人々に対し、当時のドイツ人が犯した罪に心から許しを請う」とドイツ語で述べた。
ラウ大統領はさらに、「ドイツは過去の過ちを教訓に、イスラエルの人々と共に未来を築いていきたい」と表明。両国の青少年が共に学ぶことの重要性を訴え、ドイツ・イスラエル青少年フォーラムと青少年のための奨学金プログラムの策定を発表した。
イスラエルではこれに先立ち、ドイツ元首が国会でドイツ語でスピーチすることに対して大きな関心と批判が寄せられており、同日の特別国会では、数人の議員が出席をボイコットした。右派党の議員は「国会でドイツ語が話されるのは時期尚早」と非難。ある議員は「ドイツの政治家によるドイツ語の演説はホロコースト犠牲者に対する陵辱だ」と激しく非難した。
これらに対してブルグ議長は、「ドイツ語はヒトラーとナチスの言葉でもあるが、ハイネやフロイトの言葉でもある。重要なのは言葉そのものでなく話し手とその内容である」と反論。また、30回を超えるイスラエル訪問暦を持つラウ独大統領を「イスラエルの大切な友人であり、そのスピーチを尊重すべきである」と主張した。バラク首相もこれを指示した。
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