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北米駐在員報告2002年10月 政治 日朝関係改善で日米関係にひずみ?
ニューヨーク・タイムズは19日付けの分析記事で、「公共交通機関や電気・ガスなどのインフラが極端に乏しい北朝鮮は日本からの経済支援が必要であり、小泉首相は支持率下落で国内から批判にさらされていたため『成果』を模索していた。日朝首脳会談は、両指導者の思惑が一致した会談であった。」と書いている。 しかし、最も注目すべきことは、「日本とアメリカの間で、対北朝鮮政策にひずみが生じ始めた」ことを示唆する記事が複数見られたことである。21日付けニューヨーク・タイムズは、「小泉首相が記者会見で、『金総書記との会談後、ブッシュ大統領に電話をかけ、北朝鮮との対話のための道を開くべきだと提案した際、大統領は、真剣に検討すると発言した』と答えたのに対し、ホワイトハウスは、『確かに小泉首相はブッシュ大統領に電話報告したが、大統領は早急な政策変更は示唆していない』と述べ、日米の間で食い違いがあった」と書かれている。同紙によれば、ブッシュ政権高官は、「小泉首相の訪朝は、政権の戦略に影響していない」と述べている。 ワシントン・ポスト(同日付)も、「米、北朝鮮との関係改善は懐疑的」と題した記事を掲載し、北朝鮮に対するブッシュ政権の警戒が、日朝首脳会談後もほとんど変わっていないと報じている。同紙によれば、米高官は、「小泉首相の訪朝を安易に評価することはできない。金総書記は、日本人拉致を認め、ミサイル実験のモラトリアム(一時停止)を延長し、国際兵器査察を受け入れると表明したが、肝心の『北朝鮮による兵器拡散』といったアメリカの懸念には全く歩み寄っていない」と指摘している。 ニューヨーク・タイムズの日本特派員であるフレンチ記者は、「第2次世界大戦後、日本はあらゆる国際安全保障案件で自ら進んでアメリカに追従してきたが、今回の日朝首脳会談で、日本は突如、独自の外交路線を模索することに意欲を示したようだ。平壌で達成された数々の合意は、ブッシュ政権を満足させるものではない。日本が本当に独自路線を歩もうと決意したのなら、更なる試練が待っているだろう」と指摘している(23日付け)。 |
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