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台湾駐在員報告

2016年6月 政治
駐在員 : 宮崎悌三


質素、誠実、堅実。見た目の柔らかさの奥に強い芯がある。人の言葉にじっくりと耳を傾け、その内容に短く的確な言葉で反応し、相手を引き込む。これは、2016年5月に「中華民国第14代総統」に就任した蔡英文氏について、私が感じた印象である。
 
 「中華民国」初の女性の総統となることが決まって以来、就任演説に向けて内外から様々な期待や圧力を受ける中、5月20日に就任の日を迎えた。一番の注目は、中国側が求めていた、中台がそれぞれの立場で「一つの中国」を確認したとする「92年合意」の受け入れについての言及である。蔡英文氏自身が主席を務める民主進歩党は、「92年合意」を認めていないが、この合意をなかったことにすれば、中国は様々な圧力を、台湾に継続的にかけてくるのは間違いないだろうと地元メディアは伝えている。
 
 観光面では、2015年第1四半期(1月から3月)における中台を結ぶ直行便の搭乗者数は延べ300万人を超え、同期の過去最高を記録した。しかし、台湾観光局の直近の統計によると、5月1日以降に台湾を訪れた中国ツアー客数が前年同期比で2割以上減っていることが分かった。今年の労働節(5月1日)や端午節(旧暦の5月5日)などの連休期間、訪台中国人ツアー客を多く受け入れている一部のホテルなどで予約が昨年を下回っており、台湾経済への影響に対する懸念が現実のものとなっている。現に、政府筋において、夏の期間中、中台路線を運航する航空各社が、中台直行便を減便するのではとの見方を強めている。
 
 また、台湾が2009年からオブザーバー参加している世界保健機構(WHO:国際的には一つの中国の原則により、台湾は国連などの国際機関には加盟していないが、特例としてオブザーバー参加が認められている。)の総会への招待状が、手続き期限間際になって漸く台湾当局に届き、その招待状には「一つの中国」の原則を強調する文言が記されていたことから、中国がWHOに圧力をかけていたとみられている。
 
 さらに、新総統就任以降、経済貿易・文化交流を目的にする中国官民による訪台団が途絶えてしまっており、あらゆる分野において中国からの圧力はすでにかかっていることは明らかなようである。
 
 蔡新総統は、就任演説で「92年合意」には言及しなかったものの、「ともに背負った歴史的な荷物を下ろし、建設的な対話を展開して、両岸の人民につなげるべき」と中国に対話を呼びかけた。内外の様々なことに配慮し尽くされた物静かで的確な言葉に、中国も引き込まれるだろうか。


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