東南アジア駐在員報告
2019年10月 社会・時事 駐在員 : 福田 渉
斬新なデザインのビルが競うように立ち並ぶのがシンガポールの典型的な風景だが、最近はその景色が少し霞んで見える。その理由は、インドネシアからやってくるヘイズ(煙害)だといわれている。街を歩く人の中にもマスクをする姿を見かけるようになった。9月半ばには大気汚染指数(PSI)が3年ぶりの高水準を記録したとの報道があった。ヘイズは隣国インドネシアで行われる野焼きや森林火災が主な原因だといわれている。
マレーシアにもヘイズの微粒子が大量に飛来して深刻な被害が出ており、目の疾患の増加や航空便の遅延などが報告されている。マハティール首相は、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領に外交文書を送り、消火活動で支援の用意があることを伝えているが、インドネシア政府は「状況を制御できている」とし、現時点でマレーシア側の申し出を受け入れていない。
インドネシアでは、9月半ばにスマトラ島、カリマンタン島などで合わせて20万人近くが健康被害を受けていることが報告されており、対策として政府は人工的に雨を降らせて火災の拡大を食い止める作戦を強化すると発表したが、被害の拡大は続いている。
共に甚大な被害を被っている国同士が連携をして、ヘイズの発生原因に対する抜本的な対応と火災に対する効果的な対応をとることを願っている。
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