中国駐在員報告
2014年6月 行政 駐在員 : 野村芳一
大須賀副知事を団長とする湖北省訪問団が、5月16日から21日にかけて湖北省武漢市を訪れた。2012年6月から中国東方航空による航空便が静岡空港から上海を経由して湖北省の省都である武漢市まで運航している。今回は、大須賀副知事を団長する訪問団が就航先である武漢市を訪問して交流事業を行うことで、湖北省との交流を促進し、交流人口拡大の契機とすることを目的として実施された。
湖北省は、地理的には中国の真ん中にある省で、昔から中国の東西及び南北の交通の要衝と言われている。面積は約18万平方キロメートルと日本のほぼ半分、人口も約5,800万人で日本のほほ半分であることから、 日本人にとって非常にイメージしやすい規模である。
湖北省の経済だが、この10年間に中国全体の平均を上回るペースで成長を続けていて、今後も経済発展が見込まれている。2013年の武漢市都市部の一人当たり所得は、2010年の上海に近い水準である。その前年の2012年は、上海の2008年の水準だったので、1年で一気に上海の2年分進んだことになる。中国の沿岸部の地域の成長が、ゆるやかになっている現在、未だ急成長を続けている地域である。
大須賀副知事は、5月19日に武漢市内で湖北省の甘栄坤(かんえいこん)副省長と会談した。この会談の中で、今後の静岡県と湖北省の経済、観光分野等の交流拡大について合意した。
また、今回同行した民間団体のグループは、湖北省の「老年大学」という生涯学習施設を訪問し、着物の着付け、書道、レクリエーションの分野で老年大学の受講者と交流した。湖北省の老年大学は、7,000人の学生が登録されており、一般の大学と変わらない規模で最新の設備を有している。文化、芸術、スポーツなど、多様なカリキュラムがあることから、今後、県内の様々な団体との交流の可能性があると思う。
同日、武漢市内で開催された静岡県湖北省交流促進会では、2つの分野での交流に関する調印式が行われた。一つは、静岡県日中友好協会と湖北省林業庁及び湖北省対外友好協会の間で締結された、「湖北省長江緑化植林事業交流協定」であり、湖北省内での植林事業実施について協力関係を樹立することを目的としている。
もう一つは、静岡県レクリエーション協会及び静岡県日中友好協会と湖北省武漢市旅行社連合体による「富士山友好ウォーク事業交流協定」である。富士山友好ウォークは御殿場市、裾野市、小山町が主催する事業で、中国からの観光客と静岡県民が富士山を眺めながら一緒にウォーキングを楽しむと言うものである。いずれも、静岡県と湖北省の交流を深めるために、大きな役割を果たすことが期待される。
さらに、その他の交流として、観光・経済分野においても交流が行われた。18日から20日まで武漢市内で行われた華中旅游博覧会に、日本からは唯一の出展者としてブース出展をし、本県の魅力をPRした。展示会場では、茶道の団体による呈茶が披露され、入場者に静岡茶を楽しんでもらった。また、静岡のホテル、観光施設と武漢市内の旅行社との商談会や静岡の企業と湖北省の企業との交流会も実施し、実益のある交流に取り組んだ。
日本との交流経験が多くはない中国の内陸部の地域を相手に、お互いとまどった点も少なくなかったが、今後につながる交流の基礎が築かれたのではないかと思う。
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