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中国駐在員報告2001年4月 社会・時事 中国江西省宜春市万載県の小学校で、3月6日午前、爆発が起こり、児童ら42人が死亡した。この事故については、海外のマスコミが、児童に爆竹の導火線をつける内職をさせていたところ、何らかの原因で火薬に引火し、爆発が起こったのではないかと報道したが、中国側の報道によれば、32歳の男が、授業中の3年生の教室に押し入り、教員の制止を無視して児童の机の上に火薬の入った袋を置き、火をつけたとのことであった。 その後、朱鎔基首相は15日の記者会見で、同小学校では、1999年までは児童を使って爆竹に導火線をつける仕事をさせていたことは認めたが、昨年同省内で爆竹による大事故が起こったため、この仕事は中止していたと、今回の事件との関連は否定した。 今回の事故や報道を通じて中国の現状を垣間見ることができた。 1つは、農村部と都市部に存在する経済格差である。万載県は、平均年収が1,000元(1元15円)を下回わる貧困地区に指定されている内陸の農村地域である。一方、全国35都市のトップを走っている深セン市民の平均年収は2万1,577元で、何と20倍以上の経済格差が存在している。万載県では学校の経費を賄うため、煙火工場と共同で爆竹づくりが行われていたとのことである。 もう1つは、新聞報道で、早くから犯人の実名が報道されており、しかも、犯人の別れた妻や長女の名前も実名で報道されていた点である。日本では、犯罪者の家族ということで、好奇の目にさらされたり、学校でいじめられたりしないよう、人権尊重の観点から実名で報道されることはまずないが、中国にはその様な配慮はまだない様である。 |
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