台湾駐在員報告
2016年11月 政治 駐在員 : 宮崎悌三
蔡英文政権は、今や政権野党となった中国国民党(以下、国民党という。)が、台湾において不当に取得したとされる資産の処理について、第二次世界大戦終結直後まで遡って適用できる条例を立法院(国会に相当)に提出した。条例は2016年7月に可決され、条例に基づいて設立された国民党の不当資産を回収する組織(党産会)により国民党の銀行口座が凍結された。
国民党の昨年の収支報告書によると、人件費は14億元(約45億円)を超え、この額は政権与党である民主進歩党の7.6倍に上り、党中央委員会に勤務する約130人の職員に、毎日260万元(約830万円)を支出している計算になるという。
銀行口座の凍結以降、国民党の資金繰りが悪化し、職員に対する9月の給与の支払いを先送りするなどが問題となったことを受け、給与・手当・退職金・税金・年金・健康保険などに充てる経費は例外とするよう条例を修正したが、資産の一部は資金洗浄(マネーロンダリング)や脱税の疑いがあると与党議員は指摘しており、問題の解決にはしばらく時間がかかりそうである。
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|