中国駐在員報告
2014年12月 社会・時事
駐在員 : 野村芳一
最近の上海の大気汚染の状況は、必ずしも良いとは言えない。冬場になり、朝、自宅の窓から外を見ると、十数メートル先の隣のビルが見えないことが、何回かあった。周囲が全く見えない状況というのは、不安を感じるものである。
中国の大気汚染度は、下図のように0から500までの大気質指数(AQI)によって6段階のレベルに区分されている。この2から6段階の汚染度の上海の日数を、大気汚染がひどいと言われている北京の日数と比べると4分の1程度の日数であるというデータがある。また、最近の静岡のPM2.5の大気汚染のAQIを比較すると、上海は静岡の3〜5倍程度悪い状況である。上海に住んでいる多くの日本人は、毎日大気のAQIをチェックしている。
<中国の大気質指数(AQI)>
AQIが100を超える日に長時間外に出ていると、声が出にくいとか、喉が痛いという症状を感じる人もいる。また、敏感な人の中には、頭痛を訴える人もいる。
私は、上海の大気汚染が話題になり始めた昨年頃から、上海の大気が現在の状況になったのは、いつからなのか、上海に住み続けている中国人に質問をしている。汚染は、ひょっとすると以前から存在していたのではないかという疑問もあったからである。
ところが、この質問に対して、ほとんどの上海人が、大気汚染は最近になってひどくなったと答えている。そうだとすると大気汚染が悪化した主な原因は、自動車の排気ガスが増えたことであろう。確かに北京の空気は上海より悪いが、渋滞も上海よりひどい。また、中国の自動車に対する排ガス規制は、日本より基準が緩い。そのうえ、ガソリンの質も高いものとは言えない。因みに、上海市内のガソリンの質は、市外よりまだましで、エンジンを守るため、市外に出かける際には、市内のスタンドでガソリンを満タンにしていくという話を聞いた。
先日、北京へ出張する際に、高速鉄道を利用した時のことだ。畑だけの光景になったかと思うと、列車の中で何かを燃やしている臭いを感じた。農家が米の収穫を終えて藁を焼いているのである。そのうちに列車は周りを煙で囲まれて、景色が霞んで見えなくなってしまった。農民のこのような行為が大気汚染をさらに悪化させているという意見もある。
かつて日本も公害に悩まされたが、その頃の大気汚染や光化学スモッグよりもひどい状況と言える。いずれにしても日本も通ってきた道である。政府も本腰を入れて対策を講じているので10年後には、改善されているものと思う。
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