中国駐在員報告
2021年10月 経済 駐在員 : 浅原 敏治
9月中旬から中国各地で電力需給の逼迫を理由に停電や供給制限が相次ぎ、電力不足が深刻化している。中国では石炭火力発電所による電力供給が主流であり、2030年までに二酸化炭素の排出量を減少に転じさせる目標を掲げている。電力不足となった原因について、ある中国メディアは、石炭価格が昨年の3割以上上昇し、発電コストが電力価格を上回ったためと報じ、また別のメディアは、今年上半期の排出量が前年に比べ大幅に増加し、目標達成が危ぶまれる省が電力使用制限に乗り出したため、と報じている。
影響について静岡県企業に確認したところ、江蘇省泰州市の工場では電力使用量を通常の75%程度に減らして操業し、蘇州市工業園区は停電のため、9月27日午後から操業停止となっている。湖南省株洲市の工場は国慶節休暇を10月1日〜10月7日から、9月26日〜10月4日に変更して対応している。また、浙江省でも電力消費量が多い企業に節電が指示され、一部の工場で電力使用量を減らして操業している。
9月29日、中国政府は、各地方当局に対して発電・熱供給企業への石炭供給を安定させるよう指示した。電力不足は解消される見込みであるが、太陽光や風力などの脱炭素へのエネルギー政策の転換もより加速すると見られる。
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