東南アジア駐在員報告



2008年7月 社会・時事
駐在員 : 獅倉 浩


タイ・・・タイ経済は一触即発か


    米国のサブプライム破綻問題、どこまで続くか先が分からない原油価格の高騰などにより、東南アジア経済は昨今ブレーキがかかっているが、それを横目に見て、タイの経済は相変わらず順調に推移しているように見受けられる。実際、タイ中央銀行が発表した2008年4月の主要経済指標を見ても、民間消費指数が前年同月比8%プラス、輸出伸び率が同27.7%プラス、民間投資指数も同5.6%プラスなど好調な数字を示しているし、タイ投資委員会の発表によると2008年1月〜5月の投資奨励制度への申請は、件数ベースで前年同期比の5.9%プラスとなっている。
    しかし、一方国内政治を見ると、原油価格の上昇に端を発するガソリン価格、食料品価格など消費者物価の上昇は確実に国民生活を直撃しており、これに昨今の米不足不安などの問題も加わり、タクシン元首相派の中から選ばれたサマック首相率いる現政権への、反タクシン元首相派を中心とする国民の不満が蓄積していることも確かである。6月20日には同勢力が“タクシン氏の操り人形”とサマック現首相を激しく批判し、辞任を要求する座り込みを2万数千人の規模で、無期限の予定で開始した。国会内でも野党が首相や主要閣僚に対する不信任議決案を提出するなど平穏な政治状況とは言い難い。
    この政情不安に株式市場は敏感に反応している。主に外国人投資家がタイ株を売却しており、5月以降この一ヶ月で平均株価が15%近く下落した。また、外国為替市場ではバーツが売られ、短期的に非常に不安定な値動きをしており、今後の状況によっては政局の不安に嫌気を指すバーツ売りが更に売りを招き、バーツの軟化を危惧する声も聞かれている。
    表面上、順調に見えているタイ経済状況とは裏腹にサマック首相がうまく舵取りをすることができるかどうかにタイの現状はかかっている。

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