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中国駐在員報告

2011年11月 社会・時事
駐在員 : 野村芳一


    中国の社会保険制度についての包括的な法律である「中華人民共和国社会保険法」が2011年7月1日より施行され、「外国人が中国国内で就業している場合、本法規定を参照して社会保険に参加する(第97条)」ことになった。
    この条文の表現からは、外国人は社会保険の強制加入か否かが不明確な状態であったが、「中国国内就業外国人の社会保険加入暫定弁法」が9月6日に公布(10月15日施行)され、外国人に対する社会保険の強制加入が明確になった。
    同法によると、現地法人、駐在員事務所などの勤務先に限らず、また現地雇用、出向などに限らず、中国で就労する外国人は中国の養老保険、医療保険、労災保険、失業保険及び生育保険(子供の養育に備えた保険)に加入しなければならない。社会保険自体は、地方政府が管理していることから、地方により具体的な取り扱いは異なっている。
    保険料は、所得に応じて決定される基数と保険料率である料率によって算出され、企業負担分と個人負担分がある。中国人と同じ料率が適用されると、上海市の場合には、企業個人合わせて、基数の48%が保険料となる。基数については、地方によって平均賃金の3倍などの上限を定めており、保険料の上限が算定できるが、大連市はこの上限を撤廃するという。
    こうしたことから、外国人従業員を抱える企業にとっては大幅なコスト増が確定し、中国に進出している日系企業にとっても負担が増すことになる。負担する保険料は、概ね外国人一人当たり賃金の3割から4割以上にも上るので「この制度改革は、日系企業にとってリーマンショックを超えてこれまでに最大の危機である」と言う声もある。
    北京市においては、「市がすでに公表した外国人の社会保険加入に関する通達を参照し、保険料支払の手続きを進めて欲しい。とりあえず11月から一か月分の保険料の支払としたい」旨の説明があったという。上海市については、保険料の徴収は当面見送る方針とされているが「当面がどれ程なのか」、「徴収する場合にはいつまで遡るのか」は不明である。
    また、外国人が帰国し、社会保険の脱退申請をした場合には、個人が納付した保険料が保険の種類によっては返還されるとしているが、実際にどの程度返還されるのか不明な点も多い。
    日中両国政府は、保険の二重加入や保険料の掛捨て防止などを目的とした社会保障協定を締結するための交渉に入っており、2、3か月に一度のペースで協議を行うようだ。しかしながら、他国の例などから協定締結は早くて2015年以降とも予想され、当面二重加入は避けられない見通しである。外国人を雇用する各企業においては、費用計画や個人負担分の取扱いなど早急な対応が求められよう。
    上海市などでは、現時点での年金財政もすでに大幅赤字であり、その補填のために他の収入から資金を捻出しなければならない状況に陥っている。
    外国人などの社会保険強制加入の背景には、年金財政の窮迫があるとの指摘もある。
     また、「中国における外国人就業管理規定」によると、外国人が中国で3か月以上就業する場合には、外国企業であろうと就業許可を得なければならないが、実際には就業許可を得ることなく長期間出張ベースで就業を続ける外国人も多く、有名無実の規定になっている。この規定を厳格に適用することで、外国人の社会保険加入を促進させるのではないかという予想もある。
     以前にも取り上げたが、駐在員事務所のメリットが少なくなっている中で、今回の問題は、それに追い討ちをかけるようなコスト増であることから、進出企業にとっては、その傾向を踏まえた上での進出戦略の検討が重要である。


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