韓国駐在員報告
2023年12月 社会・時事 駐在員 : 高橋 誠
打ち合わせのため当所を訪れたある来客は、「コーヒーをどうぞ」と言いながら、自身が持参したスターバックスのコーヒーを私達に勧めてくれた。「所長はホットとアイスどちらが…」という相手の顔を見ながら、私とスタッフのユは同じ理由で驚き尋ねた。「あれ?この辺りのスタバは持ち帰りの場合、再利用できるプラスチック容器で提供されてますが、いったいどこで買って来たんですか?」
2021年12月報告「使い捨てカップがないスターバックス〜ソウルで試験運用開始」で取り上げたが、2021年11月6日からソウル市内の主要スターバックス店内では、使い捨てコップを使わず、厚みのあるプラスチックのリユーザブルカップを使用していた。洗って返却すれば保証金の1,000ウォンが戻ってくるというもので、同年11月24日に施行された飲食店等での使い捨て紙コップ、プラスチック製ストロー等の使用禁止に合わせた取組だった。
しかし、目の前にあるコップは明らかに使い捨て用のコップだ。「あ、ちょうど制度が変わったんですよ」と面白がって言う彼の声を聞きながら、その場ですぐ調べてみたら確かにこのような記事があった。「韓国政府は7日、飲食店やカフェなどの食品接客業と集団給食施設での使い捨て紙コップの使用禁止措置を撤回すると発表した。食品接客業での使い捨てプラスチック製ストローとマドラーの使用、コンビニエンスストアなど総合小売業と製菓店業でのプラスチック製レジ袋の提供をそれぞれ禁じる措置については周知期間を延長し、取り締まりを実施しない。厳しい経営環境に置かれる小規模事業者の負担に配慮したという」(引用:聯合ニュース)。記事を詳しく読むと、昨年の施行から1年間は周知期間にあたり、その間、環境部が状況を注視していたところ、特に紙コップと使い捨てのプラスチックストローの削減が難しいということが分かったのだそうだ。コップの場合、洗う人手や洗浄機器購入・設置、紙製ストローのコストは何とプラスチック製の2.5倍で、消費者の満足度も低かった。私自身、紙製ストローは唇に貼りついたりすることもあるからあまり好きではないのだが、環境問題に先行して取り組んでいたあのスタバがあっさりと方向転換したことも含め、なんだか複雑な気持ちになった。
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