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東南アジア駐在員報告
2010年6月 社会・時事 駐在員 : 長谷川卓
3月半ばから始まったタクシン元首相支持派「反独裁民主統一戦線(UDD)〜通称‘赤シャツ隊’」による反政府活動は、5月19日、赤シャツ隊が占拠する市街地中心部のラチャダムリ通りに政府治安部隊が突入、強制排除により、収束に向かった。4月3日の中心部占拠以降の度重なる衝突や爆発事件を繰り返した今回の一連の騒動では、死者80人、負傷者1300人を超え、放火により複数のビルが焼失するタイ史上最悪の暴動となった。
争いの根本が、現政権の支持層でもあるバンコクを中心とする都市部に住む富裕層や旧支配階級と、赤シャツ隊を支持する地方在住の貧困層との経済格差問題にあることから、今後も尾を引くことは間違いない。
政府の積極的な投資誘致政策と政治体制が安定していることが評価されてきた同国には、大手メーカーから主要部品や2次、3次下請部品、さらには素材製造まで、フルセットで日系製造企業が展開している。想定外のポリティカルリスク(政情不安)への対応が、課題として急浮上している。
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